第57回入賞作品 中学校の部
2等賞

水の段差はなぜできるのか

愛知県刈谷市立依佐美中学校 水の段差班1年・3年
蓑部 誉・佐野 充章・瀬尾 圭司・小野 佑晃・谷口 響・髙木 東洋・ 中川 銀河
  • 愛知県刈谷市立依佐美中学校 水の段差班1年・3年
    蓑部 誉・佐野 充章・瀬尾 圭司・小野 佑晃・谷口 響・髙木 東洋・ 中川 銀河
  • 第57回入賞作品
    中学校の部
    2等賞

研究の動機

 手洗い場のステンレス・タブに水道水が流れ落ち、広がっている様子を見て気がついた。広がった水の表面に凹凸の段差ができている。とても不思議な現象に見えたので、科学部の仲間と研究することにした。

予備実験:どんな時に水の段差ができるのか。

水平面で調べた。水平器でアクリル板を水平にして水を流すと、段差の輪がきれいな形にできた。アクリル板を一方に傾けると、段差の輪が楕円形に伸び、さらに傾けていくと、下側では段差ができなくなり、上側は段差がよりはっきりしていた。上に広がった水が下方に流れ落ちてくると、段差ができやすいようだ。
球面に水を流すとどうなるか。ボールの上にラップを押し当て、上から水を流した。水は球面に沿って広がったが、水面の段差ははっきりしなくなった。流れる水の勢いが関係しているのか。
粘性の大きいハチミツを水平なアクリル板に流した。広がった表面に段差はできなかった。ハチミツに水を1:1で混ぜ、粘性を小さくしたものを流すと、段差ができた。やはり水の流れる勢いが関係している。
水の流れを平面状に流すとどうなるか。水道水を斜めに置いた平面で受け、それをさらに水平なアクリル板に流した。直線状の段差を作ることができた。段差ができるには、水の勢いが大切だ。

仮説1:先に進んだ水の勢いが衰え、そこへ次にやって来た水がぶつかることで段差ができる。

〈追究1〉先に進んだ水、次に来た水を見分ける方法がないので、モデル実験で、段差ができる仕組みを探る。

〈方法〉

 水の代わりにBB弾(プラスチック玉)を、斜面から床面に流す。

〈結果と考察〉

 先に流れたBB弾は止まり、そこで後から来たBB弾が詰まっていった。後のBB弾が先に行ったBB弾を乗り越えることはないので、段差にはならなかった。1個のBB弾が転がった位置よりも、たくさんのBB弾が転がって止まる位置の方が手前だ。ビデオ映像を観察すると、たくさんのBB弾が互いにぶつかり合って失速している。水の段差ができる時も「水の粒子」どうしがぶつかって失速し、そこへ後から来た水がぶつかるのではないか。

〈追究2〉段差の中の水の流れを探る。

〈方法①〉

 水の流れにインクを落とし、インクが流れる様子を上からビデオで撮影する。

〈結果と考察〉

 インクの流れは段差に行くと勢いが弱まり、段差を過ぎると薄まった。段差にとどまっているインクがあった。やはり、段差で流れがぶつかるために、インクの流れる速さが遅くなるようだ。

〈方法②〉

 細かな動きを観察するために、パン粉を流しビデオ撮影する。

〈結果〉

 パン粉のほとんどは水の表面を滑るように流れたが、段差でとどまり、クルクル回っているものもあった。

仮説2:段差の中では、表面とは違う流れができている。

〈追究3〉段差の断面から、水の流れを調べる。

〈方法〉

 細い透明アクリル板2枚をV字形に組んで水流の広がりの中に置き、インクを流して段差の断面の様子をビデオ撮影して観察する。青色に染めたパン粉を流して、同様に観察する。

〈結果と考察〉

 段差の付近で水がとどまり、そこへ後から来た水が乗り上げている。

仮説3:水は障害物を乗り越えた後、とどまる流れができる。

〈追究4〉とどまる流れができる仕組みを探る。

〈方法〉

 透明アクリル板で水路を作り、途中に障害物(粘土の小山)を置く。水流にインク、色付きパン粉をそれぞれ入れて流し、障害物を越える時の様子を観察する。

〈結果〉

 障害物を越えた後、水流の中に渦巻きができた。パン粉の軌道を見ると、障害物の後ろで回転した。やはり、とどまる流れができる。

研究のまとめ
~水の段差ができる仕組み~

先に流れた水が、面との摩擦や「水の粒」どうしがぶつかることによって失速する。
失速した水に、後から来た水が追いつき、水が溜まっていく。
溜まった水に後から来た水が乗り上げ、段差になる。段差を越えると、表面付近の水は速く流れる。表面よりも中の水は流れが遅いので、その場にとどまる流れもできる。

今後の課題

 水の段差付近には、まだまだ複雑な流れがあり、段差ができる所はほぼ一定しているが、絶えず揺らいでいる。段差のできる仕組みには、もっと複雑な要因が絡んでいるかもしれない。

研究を終えて

 大変だったが仲間と協力して楽しく追究できた。水の段差の断面から流れをとらえることに成功した時は感動した。水の流れを理解することで、水難事故の防止や自然災害への対応に役立てることができると思う。

指導について

指導について刈谷市立依佐美中学校 稲垣 亘

 本研究は、流しに水道水が落ちる時にできる水の段差に興味をもち、そのしくみを解明するために始めました。BB弾を使ったモデル実験では、水の流れと同じ状況にするために何度も装置を作り直して実験をしました。毎回散乱した大量のBB弾を苦労して集めていました。段差の内部の観察では、速い水の流れを見るために、アクリル板の付け方を何度も変えてきれいに録画することができる装置を作りました。水に流すものは、墨汁、牛乳、染色液などさまざまなものを試して最適なものを見つけました。水の流れは予想以上に複雑で、いろいろな場所からインクやパン粉を流して実験しました。1年生3人と3年生4人が、試行錯誤を重ねながら協力して研究を進めることで、結論に達することができました。まだ、よくわからないところもあるので、さらに研究を続けてほしいと思います。

審査評

審査評[審査員] 小澤 紀美子

 給食の準備で手洗いをしていてステンレスの流し台に落ちる水の輪に段差ができていることに興味を抱いて始まった共同研究です。どんな時に段差ができるのかという予備実験を踏まえて、仮説をしっかりと組み立てて追究しています。BB弾を使った実験、インクを入れた実験、パン粉を流しての実験によって新たな仮説と装置をつくって水の流れの断面で調べ、さらに器具による障害物と粘土での水の溜まりをつくっての結果は、水の粒子どうしのぶつかりによって水が失速し、その溜まった水に後ろから流れてきた水が乗り上げたところが段差になる、ということを導き出しています。実験の方法や水の流れの「見える化」や撮影したビデオのコマ送りの再生など、多くの工夫を3年生と1年生の異なる学年で丁寧に進めていることにより、とても良い成果を導きだしています。これからも継続して「今後の課題」としての要因解明に挑戦していくことを期待しています。

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