仮説2

切片の厚さが関係しているのではないか

 

〔実験5〕
ニンジンの切片の厚さを1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、10mmと変えて、切りました。
3mmまでは反り返りましたが、4mからは顕著な反り返りが見られなくなり、
それ以上は反り返らなくなりました。

追究2

ニンジンを切ると切片が反り返るメカニズムを科学的に解明する

仮説3

重力によって切片が反り返るのではないか

 

〔実験6〕 まな板を壁に立てかけ、横向きで切って、切片をつくりました。

結果

切片は重力の作用する方向と反対方向に、反り返りました。

仮説4

水分が多いと切片が包丁にくっつき、反り返らないのではないか

 

〔実験7〕
予備実験で用いた野菜をスライスし、102日かけて十分乾燥させ、重さからから水分量を割合で表しました。

結果

ニンジンよりも水分量の少ないジャガイモが、包丁につきました。

 

〔実験8〕
写真1のように、刃先から包丁の上にいくにしたがって包丁から切片が少しずつ
離れていくように、三角形の突起物（くっつき防止ガード）をつけて
キュウリ・ダイコン・ジャガイモを切りました。


写真1　くっつき防止ガート

結果

どの切片もすべて反り返りました。
包丁にくっつくと、反り返ろうという性質が押さえられてしまうと考えられました。

 

〔実験9〕
野菜を切ったとき、包丁はどれくらいの重さの切片をくっつけることができるか調べました。

結果

ダイコンは168g、ジャガイモは109gまで包丁にくっつきました。
ニンジンは最高15．5gで、包丁にくっつきにくいことが分かりました。

仮説5

切片の反り返りには野菜のかたさが関係しているのではないか

 

〔実験10〕
「かたさ測定装置」を自作しました（写真2）。
野菜の上面から23cmの高さからキリを落下させ、野菜へ刺さる度合いから、
かたさを調べてみました。

 

写真2　かたさ測定置		グラフ1

 

〔実験11〕　 やわらかくしたニンジンの切片は反るか

 

〔実験11-1〕
沸騰した湯の中へニンジンを入れ、10分・20分・30分・40分煮て、切片の厚さ102mmで、
反り返りを調べてみました。 結果　長い時間煮るほど切片は反り返らなくなり、
40分では反りませんでした。

 

〔実験11-2〕
ニンジンを電子レンジで、1分・2分・3分・4分温めました。

結果

長い時間温めるほど、切片は反り返らなくなり、4分では、反りませんでした。

仮説6

切片を切るときの切り方に原因があるのではないか

 

〔実験12〕
切るときに包丁の刃が曲がらないように「切片切り器」を用いてまっすぐ、
ニンジンを切りました。 結果　切片は反り返りました。

 

〔実験13〕
ニンジンを切片の反りと逆カーブになるように、切りました。

結果

切片は反り返りました。切片は反り返りました。

仮説7

包丁のつくりが切片を反り返らせる原因ではないか

 

〔観察1〕
包丁を切り、刃先の断面を顕微鏡で観察しました。

結果

 

〔実験14〕
カミソリ・万能包丁・出刃包了・カンナの刃のようすを観察し、
ニンジンを切って、切片を調べました。

結果

カミソリ以外は切片が反り返りました。 刃全体が厚い方が、切片が大きく反り返りました。

 

 

〔実験15〕
カミソリの刃にプラスチックの板を付け、カミソリの厚みを増して、切片をつくりました。

結果

見事なまでに切片が反り返りました。   刃物の厚みが切片を押し曲げているのではないか 切片は切れていくに従って右図の ように刃によって押し曲げられていくのではないかと考えられました。   〔観察2〕 反り返った切片の横断面を薄く切って、顕微鏡観察したところ、反り返っている方の 細胞の方が大きく見えましたが、はっきりしませんでした。   〔実験16〕 スポンジとウレタンフォームを切って、変化を調べました。

結果

やわらかいスポンジは包丁に押されてつぶれるような形になりました。
かたいウレタンフォームでは私たちの予想通り、包丁は厚くなっているところで
切片を押しのけ、この働きで切片は押し曲げられて反り返ることが確かめられました。

①	ニンジンを切ったときに切片が反り返るのは、ニンジンを切る刃物のつくりが 関係している。
②	ニンジンを切るとき、刃物が切片を押すカが働き、そのカによって切片が押し曲げられ、 刃物のある反対に反り返る。
③	野菜の切片が反り返るには、適度なかたさが必要で、薄く切ることが重要である。 ニンジンは野菜の中でも適度なかたさである。
④	切片の反り返りには、重力や植物体内にある水分量は関係がない。 しかし、切片が刃物にくっつかないようにすることも大切である。

追究を終えた今、やり遂げた満足感でいっぱいです。
この研究を終えて、私たちは

①	日常生活の何気ないところに不思議な現象が隠れていること
②	不思議な現象も科学の法則に則っていること
③	発想や着眼点の大切さや粘り強く追究すること

の重要性などについて学ぶことができました。
これからも、どんどんいろいろな不思議を見つけ、積極的に解決していきたいと思います。