第43回入賞作品 小学校の部
1等賞

探検!ダンゴムシの世界(2年次)
-歩き方のひみつをさぐる-

1等賞

茨城県石岡市立南小学校4年
冨田 隆義
  • 茨城県石岡市立南小学校4年
    冨田 隆義
  • 第43回入賞作品
    小学校の部
    1等賞

    1等賞

研究の動機

昨年は、(1)ダンゴムシのしげきに対する反応、(2)角度やざいしつのちがいによる歩き方、(3)平面の歩き方を研究した。(2)では、ダンゴムシの足が爪のようになっているので、表面がつるつるしているざいしつは、のぼりづらかったり、剣山などとがっている物は平気でのぼることがわかった。(3)では、たくさんのぎ問が残った。1つ目は、箱の中の歩き方である。箱の真ん中にダンゴムシを置くと、やく1分後には、はしを右回りか左回りに歩いていた。真ん中を横切るダンゴムシは1ぴきもいなかった。2つ目は、T字路の歩き方である、角を右へ曲がったら次は左へ、左へ曲がったら右へ歩く不思議な性しつを持っているのだ。
 そこで今年は、ダンゴムシの歩き方にしぼって研究してみようと考えた。

研究の目的
ダンゴムシは、道路の長さや幅を変化させると、どのように歩くのか調べる。
2番目の曲がり角までの長さや角度を変化させると、ダンゴムシは、どのように歩くのかを調べる。
歩ける材質と歩けない材質の上で歩行練習をすると、ダンゴムシは歩けるか歩けないかを判だんして歩くようになるかを調べる。
研究の方法・結果

[1]通路の長さや幅を変化させると、ダンゴムシはどのように歩くのかを調べた。

実験1

方法:長さ40cm、20cm、10cmの工作用紙に、ダンゴムシがのぼれないように線引きをつけた長いぼうを用意した(測定器)。測定器の幅を30cm、20cm、10cm、5cm、2cmと変化させ、ダンゴムシを10ぴきずつ歩かせた。


ゴールまで歩く道筋と歩く様子を調べた。
スタートしてからゴールするまでの時間を調べた。
触角が最初にふれる場所を調べた。
触角が左右のはしにふれる回数を調べた。
ゴール直前の歩き方とゴール後の歩き方について調べた。

 方眼紙にダンゴムシが歩く道筋を記入した。

結果

予想した通り、長さが短くなれば速くなった。どの長さの時でも、幅20cmの時が一番早くゴールすることができた。

実験2

ダンゴムシの体と同じ幅の通路の歩き方
方法:長さ40cm幅0.5cmの通路の真ん中にダンゴムシを一匹ずつ入れた。真ん中をスタートとし、左右のはしをゴールとした。(せいげん時間5分) 


ゴールまでの歩く様子と歩いた長さを調べた。
ゴールするまでの時間を調べた。

[2] 2番目の曲がり角までの長さや角度を変化させると、ダンゴムシがどのように歩くのかを調べた。

実験3

1番目の曲がり角から2番目の曲がり角までの長さを変化させた時の歩き方 
方法:1番目の角Aを右に曲がったダンゴムシだけを選び、2番目の角Bまでの長さを、10cm、20cm、30cm、50cm、70cmと変化させると、どのように歩くのかを調べた。通路の幅を10cmとし、辺をア、イ、ウ、エ、オとした。それぞれ10ぴきずつ歩かせ、(1)角Aを右に曲がってからの歩く道筋と歩く様子を調べた。(2)長さが長くなるにつれて右(左)→左(右)へ曲がる性しつはどのようになるか調べた。

結果

実験4

1番目の曲がり角の角度と2番目の曲がり角の角度を変化させた時の歩き方
方法:実験3と同じように、右に曲がったダンゴムシだけを選び、そのダンゴムシが45°と135°の2番目の角をどのように歩くのかを調べた。

結果

[3] 歩ける材質と歩けない材質の歩行練習をすると、歩けるか歩けないかを判だんして歩くようになるかを調べた

実験5

木の板(歩ける物)と30°のプラスチック板(歩けない物)を判だんして歩くことができるようになるか。
方法:ダンゴムシに、幅5cmの木の板、幅5cmのプラスチックの板で作った30°の坂道、の上をそれぞれ10回ずつ歩く練習をさせた。その後で、右に木の板、左に30°のプラスチック板、次に、右に30°のプラスチック板、左に木の坂と位置を変え、それぞれ5回ずつ歩かせ、どちらを選んで歩くか調べた。(せいげん時間…5分、ダンゴムシ…5匹)

実験6

わりばし(歩ける物)とえん筆(歩けない物)を判だんして歩くことができるようになるか。

実験7

水の上の坂(歩ける物)と65℃~75℃の湯の上の坂(歩けない物)を判だんして歩くことができるようになるか。

結果

右に水の上の坂を置いた時、湯の坂を選んだのは1回、右に湯の坂を置いた時は、8回選んだ。

実験8

歩行練習をした時と歩行練習をしない時では歩き方にちがいがあるのだろうか。 
方法:スタートから近い右がわに歩けない物(30°のプラスチック板、えん筆、湯の上の坂)を置いた。それぞれ5ひきずつ10回歩かせ、歩行練習をした時とくらべて、歩き方にちがいがみられるか調べた。

結果 

歩けない物を右がわに置いた時、歩行練習をした時と歩行練習をしない時の歩き方のちがい

考察

実験1の結果から、幅20cmの時には、触角が最初にふれる場所は他の幅の時よりも遠く、ふれる回数も少ないので、早くゴールできたと考えられる。
実験2の結果から、ダンゴムシは、体と同じ幅の通路でも、体の幅がせまくなるように工夫して歩くと考えられる
実験3・4の結果から、ダンゴムシの交替制転向反応は、2番目の角までの長さが30cm以上の時、2番目の角度が135°より大きくなる時は、働かないことが多くなると考えられる。90°と135°の間に交替制反応をしめすかしめさないかの角度があると考えられる。
実験6の結果から、ダンゴムシは練習の時にえん筆を選び何度か落ちても、歩けない物として判だんしていないのではないだろうかと考えられる。実験5、7、8の結果から、ダンゴムシが歩行練習をしたことは、歩ける物と歩けない物を判だんするのに役立っていると考えられる

指導について

指導について冨田磨紗子

この研究は、ダンゴムシとの遊びがきっかけとなり、昨年からの継続研究です。今年は、多くの疑問が残った「ダンゴムシの歩き方」をテーマにしぼり取組みました。
 実験していく上で常に考慮したことは、数多くのデータの集積が信憑性の高い結果につながるということです。個体差に対応するためにも、同じ条件で同じ実験を繰返し行いました。採集に際しても、気温と室温との差で活動が鈍るため少しずつ何回も採集しました。実験(1)でだけで150匹以上のダンゴムシを採集し、どのような歩き方をするのか1匹ずつ時間をかけ丹念に記録していきました。
 その結果、歩く速さは歩く幅や触角と深く関係があること、交替制転向反応を示す範囲があること、学習能力と考えられる能力があることなど、数々の驚きと発見があり親子で喜び合うとともに自然界で生きている生命の尊さに感動しました。
 今回の受賞は、本人にとってさらに次への研究の励みとなることと思います。また、今後も親子で「なぜ?」を追究する楽しさを持ち続けたいと思います。
 最後に、担任の先生をはじめ多くの方々に深く感謝申し上げます。

審査評

審査評[審査員] 高家 博成

ダンゴムシはつつくと丸くなるゆかいな虫ですが、歩き方も特徴があり、冨田君はたくさんの個体で確かめたことに感心しました。
中でも優れているのは交代性転向反応の実験です。触角の左か右の一方に受ける刺激により縁を歩く性質が、次のコーナーでは反対側の縁を歩く性質に変わることは知られています。しかしその性質は、縁の曲がり角から離れ、次の縁までの長さが30cmを超えるとその性質が保たれないことを発見したのです。

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