研究の動機
香料は、ヒトの場合リラックス、集中力UP、不安をなくすなど精神面でさまざまなプラスの効果があることが知られている。そこで、私は、他の動物、脊椎動物だけではなく、神経系の発達している無脊椎動物にもプラスの影響があるのではないか?と考えた。線虫は嗅覚が優れ、ガン検査にもつかわれていること、寿命も2週間程度と短く飼育しやすいことから、線虫を使うことにした。線虫の好きな香りの特徴を調べたうえで、嗜好性と健康に関係があるのではないかと考え実験を行った。
結論と感想
線虫に好まれる香りの上位、ティートリーとベルガモットには、y-テルピネンが含まれ、特に嗜好性の高いティートリーにはテルピネンが90%以上含まれていた。このことから、テルピネンには線虫を誘引する物質が含まれていると考えた。また、ゼラニウムを避ける傾向が見られ、寿命を比較した実験では、嗜好性の高いティートリーでは寿命が長く、嗜好性の低いゼラニウムでは早期に死亡する割合が高かった。このことから、予想通り好きな香りは健康によい作用をすると考えた。
また、長生きの線虫体内にモヤモヤしたものが見られ、若い線虫は透明で透き通っていた。このことから、香りとは無関係に老化とともに老廃物が溜まると考えた。