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小学校の部
受賞者インタビュー
文部科学大臣賞

カブちゃんと僕の成長記録⑤
~フンの秘密に迫る~

矢野 翔大さん 京都府京都市立西院小学校 4年

カブトムシへの深い愛情と興味が、フンの可能性を広げる
一大研究に発展!

きっかけは大量に出る
幼虫のフンの処分に悩んだこと

カブトムシのフンについての研究論文は今回で5作目だそうですね。そもそもこの研究をはじめようと思ったきっかけを教えてください。
矢野さん 僕は2歳10か月のときからオスとメスの2ペア、合計4匹のカブトムシの飼育を始め、現在9世目まで命をつなぐことができました。ただ、飼育するカブトムシが増えていくにつれて、幼虫が出すフンも多くなり、1年間で米袋13袋分ほどの量になりました。その大量のフンの処分に困るようになり、何かに役立てることはできないかと考えたのがきっかけです。
そんなにたくさんのフンが出るとゴミに出すのも大変ですね。
矢野さん 最初の研究はゴミに出さないようにするために、フンを食べてくれる生き物について調べました。次に、フンを何か役に立つものに加工できないかと考えて、着火剤やお線香をつくるための研究をしました。さらに、加熱したフンから香ばしい豆のような匂いがすることなどから食品化を思いたち、フンに含まれている菌を殺菌するための方法を見つけて食品に使えるパウダーをつくりました。
カブトムシのフンの研究を長年積み重ねてきたのですね。カブトムシのフンと糖度の関係を調べた今回の研究テーマは、どうやって決まったのですか?
矢野さん フンを加工する研究をしている際に、加熱すると焼き芋やメープルシロップのように甘い匂いのするフンがありました。そこでまずフンに糖度があるかどうかを調べるところから今年の研究が始まり、その結果として糖度のあるフンがあることがわかりました。

失敗しただけ、
また新しい発見ができるから楽しい

受賞の知らせを聞いたときはどんな気持ちでしたか?
矢野さん とてもうれしかったです。結果発表前はずっとどきどきしていました。去年、入賞したこともあり、それを励みにしてがんばってきたので、今年、文部科学大臣賞を受賞できたときは「すごい!」と思いました。ずっと応援してくれたパパとママ、実験を手伝ってくれた妹、そして何より一番の協力者であるカブトムシのカブちゃんに感謝の気持ちでいっぱいです。
実験や研究をしていて、一番楽しいのはどんなときですか?
矢野さん 実験はずっと楽しいのですが、特に何度も試行錯誤してようやく結果が出た瞬間は特に楽しいです。また、カブトムシのオスとメスを見分けるには、幼虫の間であれば腹部を見て「v」の印があるかどうかで確認するのですが、今回の実験の結果からフンの糖度でも幼虫のオスとメスが判別できることを解明できた瞬間はわくわくしました。
実験はずっと楽しいということですが、失敗したことはありますか?
矢野さん もちろんあります。むしろ失敗ばかりです。でも、失敗したらまた別のやり方を試してみて、それも失敗したらまた新しい方法を試してみます。失敗しただけ、新しい発見ができるので、失敗しても実験は楽しいです。
とても前向きに実験に取り組んでいるのですね。では、研究や実験で大変な思いをしたことはなかったのでしょうか?
矢野さん フンを使った研究なので、「汚い」と思う人がいることはつらかったです。でも、パパとママがいつも応援してくれて、「成功や失敗は気にせず、自分が納得するまで研究すればいいよ」と言ってくれたのでがんばることができました。また、そうやって一生懸命研究することで、それを見た周りの人たちも少しずつ僕の研究を応援してくれるようになり、とてもうれしかったです。積み重ねと継続は大切だと実感しました。

自分を信じてあきらめずに
研究を続けていれば、きっと夢はかなう

自分を信じてあきらめずに
研究を続けていれば、
きっと夢はかなう

今回の研究を終えて、次にやりたい研究テーマはもう決まっていますか?
矢野さん フンに含まれている糖度についてもっとくわしく調べたいと思っています。また、オスとメスでなぜちがいが出るのかも知りたいです。いずれは、この糖度の研究を活かして薬やエネルギーなど、人の役に立つものをつくってみたいです。また、別の研究ではフンを材料にしたカイロなどがつくれないかとも考えています。僕はカブトムシのほかにも130種類ほどの生き物を育てているのですが、その多くが冬になると死んでしまうんです。そこで、フンを使って暖かい飼育環境をつくることができれば、もう少し長生きしてくれるのではないかと期待しています。
やりたいことがとてもたくさんあるのですね。今すごく研究に夢中になっていると思いますが、将来の夢は何ですか?
矢野さん 生き物の研究者です。日本だけではなく世界に羽ばたいて、人の役に立つ研究をすることが夢です。そして応援してくれる人たちに恩返しがしたいと思っています。
研究に取り組む仲間へのメッセージをお願いします。
矢野さん 今、研究をしている人には、とにかく自分を信じて、あきらめずに研究を続けてほしいと思います。そうすれば、必ず夢はかないます。ぼくももがいてもがいて研究を続けてきて、やりたい夢をかなえてきました。また、今はまだ研究をしていない人には、「研究はすごく楽しい!」ということを伝えたいです。何か疑問を見つけたら、ぜひその疑問に集中して、研究に取り組んでほしいと思います。
ありがとうございました!
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中学校の部
受賞者インタビュー
文部科学大臣賞

「キバネツノトンボの研究 5th season ―生態・生活環の総括と種間比較―」

内山 旬人さん 茨城県小美玉市立小川南中学校 3年

5年間の研究が実を結んで手にした、
本邦初の誇るべき成果

明らかにされていない
キバネツノトンボの生態を、
自分で調べて発見したい!

まずは、どんなきっかけでキバネツノトンボの研究を始めたのか、教えてください。
内山さん 僕は小さい頃から昆虫が好きで、小学校3年生から地域の自然環境を調査する『小美玉生物の会』に所属しています。そのグループで、僕が研究対象にしたキバネツノトンボを見に行く機会がありました。キバネツノトンボは、全国の15の自治体でレッドデータブックに記載されている珍しい虫で、ほとんど研究されておらず、生態や生活史などが明らかにされていません。それを知り、「だったら自分で調べてみよう」と思ったのがきっかけです。
実際に、どのような研究をしたのですか?
内山さん 生息地に足を運んで卵を見つけ、自宅で孵化させて幼虫の成長を観察したり、成虫を飼育して生態や習性を明らかにしたりと、とにかくたくさんの時間と量をかけて研究しました。
研究は小学5年生からスタートして今年で5年目なのですが、今年はこれまでの研究の集大成として、新しい実験を加えながら4年間でわかったことをまとめ直しました。また、キバネツノトンボの研究のために観察してきた「オオツノトンボ」と「ツノトンボ」の2種と比較することで、キバネツノトンボの特徴や特性をより明確にする試みも行いました。
自分で幼虫や成虫を育てて研究するのは、大変ではなかったですか?
内山さん 正直、大変でした。幼虫が全滅してしまったり、成虫をうまく飼育できなかったりして、泣いたこともたくさんあります。でも、犠牲にしてしまった虫たちのためにも、正確な知見を得ようとがんばってきました。くじけそうになっていた時、ツノトンボの飼育に成功したことがある静岡県昆虫同好会の杉本武先生に出会って飼育のコツなどを教えてもらい、研究を続けることができました。

専門家にアプローチして情報収集
論文発表や、学会への参加も!

専門家にアプローチして
情報収集
論文発表や、
学会への参加も!

今回の研究を行うにあたって、専門家などにメールや電話をしたり、Xで情報を集めたりしたそうですね。
内山さん はい。キバネツノトンボに関する情報はほとんどなく、あったとしてもそれを鵜呑みにせず、自分で確かめることにこだわっていたので、わからないことや知りたいことがあれば、積極的に動いて情報を集めました。Xでは、「#キバネツノトンボ」などで検索をして、リサーチしました。顔や本名を知らない人であっても、親切に知識や情報を教えてくれて本当にありがたかったです。また、この研究をきっかけに、岩手大学大学院連合農学研究科博士課程在籍(当時)の富永豪太さんや、北九州市立いのちのたび博物館の蓑島悠介先生など、たくさんの専門家たちと知り合うこともできました。
研究を進めるにあたって、どんなところに楽しさややりがいを感じましたか?
内山さん 疑問を持った点に仮説を立てて実験を行いました。その実験の繰り返しの中で、仮説が当たっているとわかった瞬間がとても楽しかったです。それに、僕が主著の論文も今回の3種のツノトンボの生態比較も、僕よりも先に発表した人はいないそうです。タイミングが良かっただけかもしれませんが、自分が新発見をできた。やってきて良かったなとうれしい気持ちでいっぱいです。

好きだったら、きっと頑張れる!
自然豊かな地元で、観察を続けたい

好きだったら、
きっと頑張れる!
自然豊かな地元で、
観察を続けたい

研究を通して成長したと思うのは、どんな点ですか?
内山さん まだまだ、粘り強さやコツコツと努力を積み重ねるひたむきさは足りませんが、大人と話をしたり、メールなどでコミュニケーションを取ったりするのは上達したと思っています。プレゼンの発表や質疑応答などにも、慣れてきました。それに、どんなに優れた研究も伝わらなければ世に出ません。だからこそ、わかりやすく伝えるために試行錯誤しながら発表資料づくりを頑張りました。パソコンを使った作図などが年々上手くなってきて、周囲から成長をほめられたことも自信になっています。
これからやりたいことや将来の夢は、何ですか?
内山さん 研究に関しては、「キバネツノトンボ」の光や匂いなどへの反応を分析するなど、もっと深く生態を知るために実験を続けられたらうれしいです。僕が住んでいる小美玉市はとても自然が豊かな地域なので、ずっとこの町で、大好きな虫と触れ合いながら暮らしていけたらいいなと思います。
これから研究をやろうと考えている仲間たちに、メッセージをお願いします。
内山さん 僕自身は、勉強が好きなわけでも知識があるわけでもなく、ただの虫好きの中学生です。好きなことであれば、勉強の力や知識が足りていなくても発想や工夫、経験でカバーできるはずです。「自分にはできない」とあきらめずに、挑戦してみてほしいと思います。
ありがとうございました!
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小学校の部
受賞者インタビュー
オリンパス特別賞

お口のなかを見てみよう —PART3—

木住野 稜一郎さん
茨城県私立リリーベール小学校 3年

虫歯と「酸性」の関係に注目した実験で、
食べ方や歯みがきの大切さを証明!

「口の中に『菌』は本当にいるのかな?」
という疑問が研究の出発点

「口の中に『菌』は
本当にいるのかな?」
という疑問が研究の出発点

今回の研究はPART3ということで、木住野さんは小学校1年生の時から研究を始めていますよね。そもそもの口の中のことを調べてみようと思った最初のきっかけはなんですか?
木住野さん 幼稚園生の時の歯科検診で歯医者さんに「口の中には『ばい菌』がいる」と聞いたのですが、目に見えないので「本当にいるのかな?」と疑問に思ったのがきっかけです。そこから「もしいるなら自分の目で見てみたいな」と考えて、自分で確かめてみようと思いました。
確かめるためにどんなことをしましたか?
木住野さん 綿棒で口の中をこすって、そこについたものを家にある顕微鏡で見てみました。すると、丸い「菌」が見つかったので、「口の中には本当にこんな『菌』がいるんだ!」とわかっておどろきました。
なるほど。そして、2年生でも研究を続けていらっしゃいますよね。2年生ではどんな研究をされたのですか?
木住野さん 口の中といっても、舌の上や下、歯の表や裏など、いろいろな場所があるので、どの場所に「菌」が多くいるのかを調べようと思って実験をしました。それから、歯みがきで「菌」を減らすことができるかどうかについても調べました。
3年目となる今年の研究テーマはどんなふうにして決まりましたか?
木住野さん 今年はまず「菌」が増える条件を調べてみようと思いました。また、虫歯になると「歯が溶ける」と言われているので、本当に溶けるのかを確認する実験をしました。さらに、食事をする前と後の口の中の状態や、食事と歯磨きの関係についても調べました。

細かな作業を根気強くくり返し、
たくさんの実験データをもとに考える

細かな作業を
根気強くくり返し、
たくさんの実験データを
もとに考える

1つひとつ丁寧に実験をされていますが、どのくらいの期間をかけたのですか?
木住野さん 4月くらいから始めて8月の夏休みの終わりまでかかりました。撮影した写真などがたくさんあったので、最後にまとめる作業が大変でした。
確かに、レポートにはたくさんの写真や結果をまとめた表やグラフがわかりやすくまとめられていますね。細菌の写真がよく撮れていますが、工夫したことはありますか?
木住野さん まず「菌」にピントを合わせるのが難しかったのですが、うまくピントが合うとうれしかったです。写真は、スマホのカメラの部分を顕微鏡ののぞく部分にぴったりくっつけて撮りました。また、きれいに撮るために部屋を明るくして撮ったのも工夫したポイントです。
実験で一番苦労したのはどんなことですか?
木住野さん 今回、「菌」は歯を溶かすかどうかを調べる実験をしたのですが、歯の代わりに同じカルシウムでできた卵の殻を使いました。そのため、卵の殻を0.2グラムずつ量って、1.5ミリリットルのチューブの中に入れ、さらにそこに水溶液を入れる作業を何度もしなくてはいけなくて、頭がおかしくなりそうでした。
レポートに書かれている以上の苦労があったのですね。では、今回の実験中に一番わくわくしたのはどんなことですか?
木住野さん 寒天を使った培地を作って「菌」が増える条件を調べた実験をしたんです。いろいろな調味料を使った実験で、砂糖を加えたものが一番多くなると思っていたのですが、経過を観察していくと砂糖より塩や酢の方で菌の塊であるコロニーが増えました。この結果を見て「どうしてだろう」と思い、知りたいことが増えてわくわくしました。
予想と違った結果に、知りたいことが増えてわくわくするのはとてもすてきですね。実験結果で他におもしろかったことはありますか?
木住野さん 食事の前後と歯みがきをした後とで、口の中のpH(ピーエイチ:酸性・アルカリ性を示す数値)を調べたときに、食事の量や食べ方、歯みがきの時間などで差が出るのではないかと思い、家族で比較しました。その結果、お父さんが一番酸性の数値が高かったので、歯磨きはきちんとしないといけないとわかったのが興味深かったです。

考えることを楽しむことが、
新しい発見につながる

考えることを楽しむことが、
新しい発見につながる

これからどんな研究をしていきたいですか?
木住野さん 今回の研究で新たに「アルカリ性で増える『菌』はどんな菌なのだろう?」、「口の中の『菌』が体の中に入るとどうなるのだろう?」という疑問が浮かんだので、それについて調べていきたいと思っています。ただ、どんな実験をすればいいのかなど、どうやって調べればよいのかはまだわからないので、これから考えていきたいです。
これから研究に取り組もうとしている仲間へ、メッセージをお願いします。
木住野さん 「なぜ?「どうして?」と思うことがあったら、失敗をおそれずに調べること。そして、考えることを楽しむことが新しい発見につながります。だから、不思議に思っていることがあれば一歩踏み出してほしいです。実験のやり方などは、大人に聞いたり図書館で調べたりしながら自分で確かめてみることが大切だと思います。
ありがとうございました!
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中学校の部
受賞者インタビュー
オリンパス特別賞

心臓病で苦しむ人を助けたい!安価で高性能な血液ポンプの開発

張 契洙さん
富山大学教育学部附属中学校 3年

実際の手術に使用可能なレベルを達成!
人工心臓づくりへの飽くなき挑戦

血液ポンプを自分で設計・製作。
最大の課題を克服できた

血液ポンプを自分で
設計・製作。
最大の課題を克服できた

今回はどんなテーマで研究に取り組んだのでしょうか?
さん 研究テーマは「右心用補助人工心臓」です。人工心臓について知ったのは、小学校3年生の時に読んだ漫画でした。そこには完全に心臓の代わりとなるような人工心臓は未完成だと書かれていて、「いつか自分が作りたい」と思い、研究を始めました。
実際に、どんな研究をしたのですか?
さん 今年は「血液ポンプ」の機能に焦点を当てました。人工心臓のポンプの最大の問題点は、血液の溶血(赤血球が破壊されること)と血栓(血液が固まり塊になること)の発生です。いかに成分を壊さずに血液を送るかが大切で、いくつもポンプを設計・製作して試しました。完成したポンプを使って溶血度や流速、圧力を計測して、ポンプ自体の性能評価も行いました。
自分で人工心臓のポンプを設計するなんて、すごいですね!
さん 人工心臓のポンプを作るための資料はほとんどないので、水を汲み上げて送る一般的なポンプの仕組みを参考にして設計しました。製作は人工心臓の開発をしている有限会社安久工機という企業に協力をしていただき、性能評価などの実験については、東京大学で人工心臓を研究している磯山隆先生にも研究室をお借りしながら進めていきました。

6時間連続の耐久試験を実施。
実用に向けて一歩近づいた

6時間連続の耐久試験を実施。
実用に向けて一歩近づいた

研究を進める上で、何が一番苦労しましたか?
さん ポンプの水漏れと、溶血を防止するための形状を考えるのが大変でした。実験をしてみて、壁にぶつかるごとに設計を変えて作り直すなど、何度も試行錯誤しました。特に、20分ごとに溶結度の測定を行うポンプの耐久試験を6時間続けてやったときは、夜中だったのでとても眠くて。それでも眠気と戦いながら、がんばりました。
今回の研究での一番大きな成果はどの点ですか?
さん ポンプの性能評価をした結果、市販ポンプと比べて性能は劣るものの、流体力学的には人体の手術に使用できるレベルの機能を持っていることがわかりました。心臓病で苦しむ人を助けたいと思ってこの研究を続けているので、実用化に一歩近づくことができて、とてもうれしいです。
研究作品のタイトルの中に「安価で高性能な血液ポンプの開発」とありますが、安価にしたいと思うのはどうしてですか?
さん 発展途上国などで暮らす人たちにも、自分が作った人工心臓を使って健康になってもらいたいからです。現在、人工心臓だけで約800万円も費用がかかってしまうと聞きました。機能は高いけれど、値段ができる限り安い人工心臓を作るために、コストを下げる工夫や量産できる仕組みを作ることが大切だと思います。
この研究に関して、今後取り組みたいことは何ですか?
さん 去年、開発を進めることができた拍動シミュレーターの性能をもっと上げて、実用化できるようにしたいです。心臓の血流を再現できる拍動シミュレーターがあれば、動物実験を減らすことができるので、そこに力を入れてより高性能のものを作りたいですね。

社会の役に立つ研究だからこそ、
モチベーションを持ち続けられる

社会の役に立つ
研究だからこそ、
モチベーションを
持ち続けられる

2年連続となるオリンパス特別賞ですが、受賞した気持ちはいかがですか?
さん まさか2年連続で賞をもらえるとは思っていなかったので、とてもおどろきました。オリンパス特別賞は「人間の身体・健康・医療に関する優秀作品」に対して贈られる賞なので、僕が取り組んでいる医療に関する研究をあらためて評価してもらえたことが、うれしいです。
そうですよね。長く人工心臓に関する研究を続けていますが、どんなときに研究をやっていて良かったと思いますか?
さん ゲームなどで味わう達成感とはちがい、生きている人間に関すること、命を司る心臓であるということにすごくやりがいを感じています。誰かの役に立てていると思えるからこそ、それがモチベーションになって研究を続けることができています。
これから研究に挑戦しようと思っている人へ、メッセージをお願いします。
さん やろうと思えば、何だってやれます。僕はものづくりに挑戦していますが、材料や予算が足りなかったとしても、工夫して良いものを作ることができています。お金をかけないとできないと思い込まずに、自分なりに考えてアイデアを出せば、きっとできるはずです。
将来の目標を教えてください。
さん 最終的には、発展途上国に完全人工心臓を無償で提供して、少しでも人々が長く生きるお手伝いができたらと思っています。まだまだ追求しないといけないことはたくさんありますが、目標を忘れずにがんばっていきたいです。
ありがとうございました!
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第65回シゼコン表彰式

審査総評

第65回を迎えた伝統ある自然科学観察コンクールに多くの応募をいただき感謝いたします。特に、コロナ禍以降、応募数が減少傾向にありましたが、応募学校が増えてきていることに審査員一同安心し、応募いただいた作品を読み込む至福の時間を過ごすことができました。
審査に当たっては事前に応募作品を読み込む予備審査を行い、最終審査会では一堂に会して、審査員の専門性の視点からの意見を交換しながら各賞を選びました。受賞された皆さまには、心からお祝いを申し上げます。
応募作品の内容や方法が年々多様化を増してします。きょうだいでの取組みやグループでの取組み、さらに探究心あふれる取組みや失敗に学び新しい視点からの挑戦、粘り強さや知的好奇心満開での取組み、さらにはSDGsの視点など、しっかりと「問い」をたて、さらには「物語性」を構築している作品など、仮説の検証、科学的論理性、粘り強さや継続する力を十分に発揮した多くの力作や感動的な作品を読ませていただき、審査員として粘り強い探究へのエネルギーに脱帽しておりました。さらに作品を新たな視点で読み学ぶ機会に感謝する時間を過ごすことができました。
なお、今回受賞された作品のみならず、残念ながら賞を逃した作品にも敬意を表したいと思います。
未来を担い、科学する意欲に燃えている取組みの姿勢を持続させ、今後とも多くの作品が寄せられことを願っています。

東京学芸大学名誉教授 工学博士 小澤 紀美子先生

文部科学大臣賞

小学校の部

カブちゃんと僕の
成長記録⑤
~フンの秘密に迫る~

矢野 翔大さん 京都府京都市立西院小学校 4年

審査員コメント

文部科学大臣賞の受賞おめでとうございます。3歳未満児の時にイベントでいただいたカブトムシの飼育から、その飼育と魅力にはまり、難しい累代飼育に挑戦し、10世目まで飼育した探究心にあふれる研究成果です。3つの研究目標、①カブト虫のため、②自身のため、③人のため、という明快な目標設定を行い、カブト虫が出すフンの「甘い香り」に気づき、甘い香りを出すカブト虫がメスであることを見出します。さらに人間でもメスが出産にむけて高血糖の状況を生み出すと推察し、「雌雄により、さらに齢ごとの糖度の違い」を分析し、フンとの格闘が始まっています。昨年、3等賞を受賞していますが、医療用血糖値測定器で糖度を測り、ていねいに実験4と実験5を重ねてフンのデータを分析し、5作目の論文での受賞と不思議への解明への挑戦力に脱帽です。歴代の飼育してきたカブト虫への感謝の言葉から、ご自身の成長を垣間見ることができ真理を追究する研究者としても尊敬できます。

小澤 紀美子先生

中学校の部

キバネツノトンボの研究 5th season
―生態・生活環の総括と種間比較―

内山 旬人さん 茨城県小美玉市立小川南中学校 3年

審査員コメント

キバネツノトンボは全国的に非常に珍しい昆虫で、16以上の都道府県で絶滅危惧種に指定されています。一方で、キバネツノトンボは全国的にこれまで基礎的な生態や生活の様子がほとんど明らかになっていません。小学校5年生から継続して研究を行っている内山君は、自ら調査を行い研究を進め今までわからなかった部分について明らかにしています。研究成果を読んでいると、自ら課題を見つけ研究計画をていねいにたてることで、楽しみながら研究を進めている様子がうかがえます。基本的な情報が少なかったため、調査の段階では、SNSやX等も活用し全国からのデータ収集、整理も行いました。卵から幼虫、蛹、成虫と変化していく過程も、とてもていねいに観察しその様子を分かりやすく記録しています。フィールドにも積極的に足を運び観察していることで、キバネツノトンボに対しての熱い思いが伝わってきます。今後はキバネツノトンボだけでなく、オオツノトンボやツノトンボなどこれまで研究が行われていなかった種類についてもさらに研究を進め、新たな研究の扉を開くことに期待します。

田中 史人先生

オリンパス特別賞

小学校の部

お口のなかを見てみよう —PART3—

木住野 稜一郎さん 茨城県私立リリーベール小学校 3年

審査員コメント

幼稚園の時に歯医者さんから聞いた口の中の菌のはなしをきっかけに始めた研究です。これまでの2年間で口の中の菌の存在や種類について調べたことから、菌を減らす方法やその働きについて調べました。自分だけでなく家族の口の様子も同じように調べているところがよいです。菌が増える要因について様々な角度から考えをもっている所も素晴らしいです。

飯田 秀男先生

中学校の部

右心用補助人工心臓 RVAD

張 契洙さん 富山大学教育学部附属中学校 3年

審査員コメント

継続してのオリンパス賞特別賞の受賞おめでとうございます。
小学校3年生から手塚治虫さんの歴史的なマンガに触発されて「未開発である完全人工心臓」に興味して関心を持って探究してきた研究で、多様な分野の方からの支援や助言をいただきながら研究者としての初心を忘れず、追究している姿には頭が下がります。
今回の論文では、3つの仮説を明快に設定して、それらをクリアしている研究者としての姿勢に感動しております。この研究の背景には、工学系では流体力学、流体工学、電磁気学が、医学系では循環器分野の知見が不可欠で、本研究は、それらの知見を統合していく研究者自身の「熱量とつなぐ力」、さらに「完全人工心臓を開発途上国に無償で提供すること」としての「静かな情熱と力量」が研究をここまで推進させてきていると推察できます。
高校生になっても継続して研究を進め、「静かな情熱と力量」で、実用化を目指していただきたいと期待しております。

小澤 紀美子先生

応募総数

第65回応募校数・作品数
小学校の部 中学校の部 合計
応募校数 200 0 400
応募作品数 5500 1300 7300

応募総数

第65回応募校数・作品数
応募校数 応募作品数




200 5500




0 1300

300 7300

シゼコンアーカイブ

シゼコンアーカイブ

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