伝統ある自然科学観察コンクールに多くの応募をいただき感謝申し上げます。応募いただいた作品を読みこなしながら感動と未来への希望を見出した至福の時間を過ごすことができました。審査員は科学する意欲に燃えている児童・生徒さんに逆に励まされて、感嘆するとともに作品に多くの共感と共鳴を持ちながら予備審査の時間を過ごすことができました。審査にあたり、まず、審査員が各自に応募作品を読み込み一次審査を行いました。そうした上で、最終審査会では審査員が一堂に会して意見を交わして、各賞を選びました。
応募いただいた作品には、探究の確かな道すじや取組むべき対象への概念を明確にして進めている作品、身近な不思議に「なぜ」という「問い」を発想し、そのための基礎情報を収集、実験方法を考え追究している作品、継続してきた研究に別の角度から磨きをかけている作品、災害の事象を実験によって解明しようと挑戦している作品、見えない事象の「見える化」に力点をおいた作品、追究のプロセスに他の方の協力を得ながら思考回路をより一層ひろげ深化させて取組んだ作品など、児童・生徒さんの知的好奇心や意欲、粘り強さに感嘆しました。
今後も想像力と創造性の翼を広げ、科学する意欲を持続させ、平和で安全な社会構築にむけて活躍していただけることを期待しています。さらに来年も多くの作品が寄せられることを願っております。
文部科学大臣賞受賞おめでとうございます。親戚の病気で亡くなった方への自然免疫であるNK細胞の活性化に寄与することをねらいとした小学校3年生から始めた研究です。ふなずしの飯(いい)に含まれる約200種類の乳酸菌「しがきん」があるらしいことから、自らふなずしをつくり、その飯(いい)から5菌株の「しがきん」の図鑑を策定している力作です。図鑑には、10の観点から探究して情報を掲載しています。その探究のプロセスで素晴らしいのは、研究の動機の裏付けとしてふなずしを多く食している滋賀県の統計的なデータに基づいて進めていること、追究の過程で出てくる培養、生きん数の測定などの概念と同定方法を明確にして進めていること、しがきんの図鑑が策定されていないことを国会図書館まで検索して無いことを確認していること、実験など指導や方法を民間の会社の方や大手の企業などの研究所の研究員や大学の先生からのアドバイスや協力を得ながら確実に推進しているパワーは素晴らしく、かつ失敗にも学び緻密な探究心には、作品を読みながら感嘆の声をあげてしまいました。さらに、琵琶湖の沖島を訪れた時に分けていただいた「ふなずし」の味を思いだしながら作品を読ませていただきました。
本研究は小学校1年生からの9年間継続して行った研究です。川の石がどこからやってくるのかといったことに小学生の時に興味をもち、中学生では調査結果から生じた疑問を、河床を構成する河床粒径に変えて河床の勾配や地形の変化による違いなどについても調査し研究を行いました。調査結果から生じた疑問を解決するために、仮説を立て研究を行いました。川の調査する地点を上流から下流に変え、調査する川も増やしています。上流よりも下流の石の方が大きくなることがあるという逆転現象も発見しました。自身が行った調査結果について、“なぜだろう“という疑問をもとに河川事務所を訪ねて話を聞くなど納得するまで取り組む姿勢にはとても好感がもてます。
また、独自の方法で行った調査方法を継続して行ったことで、より一層信頼がおける結果を得ることができました。得られたデータの量はとても多く、より一層信頼がおける結果を得ることができています。結果を表やグラフ、地図等を使いとてもわかりやすくまとめてあり、その努力は高く評価されました。今後は、現在の川と昔の川の違いをもとに過去に起きた事実を知ることで、本研究が将来起きるかもしれない災害を予測し、適切に対応できるよう発展していくことを期待します。
家族の体調を気遣う思いから、生活改善の根拠と必要性について追究した研究です。その中で、血糖値の変化と家の中や飲み残した飲料に関する菌に着目しました。
血糖値の研究では、機器を用いて血糖値の変化を、影響があると予想した食べ物の種類や食べる時間、運動の視点で調べています。実験の安全性に配慮し、家族や協力者の4週間から6週間の結果をまとめました。臨床的な取組であることを踏まえながら、要因と結果について考察できています。また、生活の中の菌では、家の中の衛生状況を14か所について調べています。現状把握に留まらず、消毒後の実験も行い、生活改善につながるデータをとれています。飲料の飲み残しの菌の繁殖では12種類と多くの実験を行いました。結果を時間経過とともに分かりやすくまとめられています。
データを根気よく収集、分析しながら、根拠をもとに、生活の改善に関わる提案する点がすばらしいです。家族の健康を守る強い思いを感じることができる研究です。
小学生のころ、完全人工心臓のJarvik7を見て、自分自身で作りたいと思い本研究が始まりました。現在、左心用人工心臓は多く流通していますが右心用補助人工心臓は流通していません。また数は少ないですが、右心に疾患がある患者さんもいます。これまでの実験では、人工三尖弁や大動脈弁を数多く試作し耐久実験を行ってきました。今回は、機械式人工弁を使用することで、金属部分にできやすい血栓を防ぐために使用する、抗凝固薬を使用しないために魚弁を活用した研究を行いました。人工の素材と魚の素材を比較していく過程で、血栓の溶解が可能な脂肪酸を見つけることができました。また、弁拍動シミュレーターの制作では駆動装置の制御についても研究を進めています。研究を進めていくにあたり、様々な分野の先生方からの支援や助言をもとに、試行錯誤しながら開発を進めていく姿勢にはとても好感が持てます。
今後さらに補助人工心臓の研究を進め、疾患がある方々のお役に立てるよう実用化に向け努力を続けてほしいと思います。
小学校の部 | 中学校の部 | 合計 | |
---|---|---|---|
応募校数 | 200 | 0 | 400 |
応募作品数 | 4800 | 2100 | 7400 |
応募校数 | 応募作品数 | |
---|---|---|
小 学 校 の 部 |
200 | 4800 |
中 学 校 の 部 |
0 | 2200 |
合 計 |
300 | 7400 |