小学4年の時にステレオグラムのうちわをもらった。ステレオグラムに興味を持ち、その仕組みについて研究した。その後、パソコンを使ってステレオグラムを作ってみるようになった。ヒトがどのように立体視を行っているのか、どのくらいの距離の差(ずれ)を認識できるのか知りたいと思った。
方法(1)
立体視力測定装置(図1)を3Dモデリングソフト(Google Sketch Up8)を使って設計し自作した。 |
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図1 |
実験 Ⅰ.
前後に動かした移動棒と固定棒が被験者から同じ距離に見えたら動きを止め、移動棒の位置と固定棒の位置の距離(ずれ)を記録した。固定棒までの距離を50㎝から500㎝まで設定して行った。被験者は、
A(14歳男性、近視・眼鏡着用)
B(50歳男性、近視・老眼で眼鏡着用)
C(79歳女性、白内障の手術経験者)
とした。
① | 背景の黒い板と衝立を外して |
② | 黒い板と衝立を置いて、それぞれを測定した。眼から固定棒までの距離に対するずれをずれの比率、[100-ずれの比率]を立体視の精度として表した。 |
実験 Ⅱ.
片眼で実験Ⅰを行った。
方法(2)
ステレオペア動画による立体視力測定装置(図2)を作製した。
実験 Ⅲ.
ステレオペア画像をモニター画面でアニメーション再生し平行法で立体視した。移動棒が両側の固定棒と同じ距離に並んだと思った時に停止した。動かした画素の数を求め、前後のずれを計算して立体視の精度を求めた。被験者はAとBとした。
結果・考察
両眼視では、固定棒までの距離が遠い方が立体視の精度が落ちる傾向であった。調節のみが働く片眼視では立体視力の精度は両眼に比べて低くなった。ステレオペア動画では、モニターの画素幅による立体視の精度には検出限度があり、実際の装置ほど細かい評価はできなかった。200㎝以上の距離においては、調節よりも輻輳と両眼視差が立体視力に強く関わっていることが分かった。 |
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図2 |