第46回入賞作品 小学校の部
1等賞

ふじの木のふしぎ

1等賞

千葉県千葉市立星久喜小学校 2年
小倉 永里
  • 千葉県千葉市立星久喜小学校 2年
    小倉 永里
  • 第46回入賞作品
    小学校の部
    1等賞

    1等賞

研究の動機

  ことしの春、にわのフジがはじめて花のめのかたまりをたくさんつけました。「これからどうなっていくのかな」と思い、フジをかんさつすることにしました。
フジのかんさつ(4月3日から8月25日まで)

《方ほう》

フジの木のかんさつする場所をきめて、同じところを1~3日おきにスケッチして、どのようにかわっていくかをかんさつする。

ぎもんについてしらべたこと

《ぎもん1》

花のめのかたまりが、ほかの花のつぼみのように、そのままひらいて花をさかせるのかな。

《わかったこと》

4月11日の気づきのように、「花のめのかたまりは、太いえだに近い方からじゅん番に小さい一つずつのつぼみを立たせながら、花のくきをのばしていく。小さいつぼみはだんだんふくらんで、えだに近い方からさいていく」ことがわかった。

《ぎもん2》

花のめは、どのぐらいのはやさで大きくなるのかな。

《方ほう》

の花めの長さと、かかった日にちをグラフにした。

《わかったこと》

どの花めも、かんさつしはじめて22~24日目ぐらいで一番長くなった。
どの花めもさいしょは少しずつのびて、6日目ぐらいから22日目ぐらいにかけてぐーんとのびて、それからはあまりのびなかった。
グラフが同じような形になった。

《ぎもん3》

どうしてミツバチやクマバチがくるのかな。

《わかったこと》

ミツバチやクマバチは、フジのみつをすって、花ふんをあつめているのだとわかった。

《ぎもん4》

花の中みはどうなっているのかな。

《わかったこと》

花をスケッチし、本にのっている図とあわせてみた。 花には花びら、がく、おしべ(10本)、めしべ(1本)、しぼうがあることがわかった。

《ぎもん5》

フジの花は、おわったらかれて、ぜんぶおちて、何ものこらないのかな。

《わかったこと》

かんさつしていくと、花がかれたあと、小さい黄みどり色のバナナのようなさやがでてきた。そして、ほとんどは小さいまま下におちる。花のくき1本で1~4こぐらいのさやが大きくなってのこる。

《ぎもん6》

おちたさやの中はどうなっているのかな。

《方ほう》

小さいさやをカッターで切ったあと、けんびきょうでかんさつした。

《わかったこと》

中にはとうめいな、小さいたねがたくさん入っていた。小さいたねをさわってみた。けっこうかたくてびっくりした。

《ぎもん7》

つるは、どんなふうにのびるのかな。きまりがあるのかな。

《方ほう》

のびているつるを2本えらび、1本はさきをしちゅうに右まきにまきつけ()、もう1本は左まきにまきつけ()、つるがどのようにのびていくかをかんさつした。

《けっか》

1日目:はそのまま、まきついていた。はつるのさきの方がしちゅうからはなれて、右まきの方へまがっていた。2日目:はきのうと同じ。 はきのうはなれていたところが、右まきにまきついていた。

《わかったこと》

フジのつるは右まき。左まきにしても、自分で右まきにすぐかえる。

《ぎもん8》

どこについているさやが、のこりやすいのかな。

《方ほう》

東がわになっている花のくきをぜんぶ切りとり、上から何cmのところにさやがなっているかを、ものさしではかり記ろくした。さやの長さとおもさも記ろくした。《よそう》ねに近い上の方が、水やよう分がすぐに来るので、さやがのこりやすいだろう。下の方は風でぶらぶらうごくので、とれやすいだろう。

《けっか》

上から30~40cmのところに、15グラムよりかるいさやが一番のこっていて、10こあった。
15グラムいじょうあるさやは、上から20~30cmのところに一番残っていて、5こあった。
よそうとちがって、上から10cmまでのところには、さやが1こものこっていなかった。 ほとんど10~40cmのところにあった。

《わかったこと》

さやは、まん中から下の方にのこりやすい。ねに近い上の方におもいさやがたくさんのこっていて、30cmいじょうはなれたところに、かるいさやがたくさんのこっていた。

《ぎもん9》

大きいさやの中は、どうなっているのかな。たねがいっぱい入っているのかな。

《方ほう》

ぎもん8でとったさやから、小さいもの1つと大きいもの1つをえらび、中をあけてみた。くらべるため、木についている小さいさやと大きいさやを切りとり、中をあけてみた。

《わかったこと》

大きいさやの中には、「とうめいな小さいたね」が黄みどり色になってたくさんつまっているだろうと思っていたけど、1~5こぐらいの大きいたねになっていたのでとてもびっくりした。たねがなっていないところには、小さいつぶがのこっていた。ちいさいたねが、ぜんぶ大きいたねになっていないことがわかった。

《ぎもん10》

さやは、どれくらいのはやさで大きくなるのかな。

《方ほう》

さやの長さをはかって、どのくらいの日にちで大きくなるのかグラフにしてみた。

《わかったこと》

長さをはかりはじめてから、62日目が12.5cmで一番大きかった。30日目まではぐーんとのびて、そのあとはあまりのびなかった。花のめの大きくなるようすと、さやが大きくなるようすはすごくにていた。

《ぎもん11》

つるはどこが、どれぐらいのびるのかな。

《方ほう》

つるを1本えらび、はのつけねに油せいマジックでしるしをつける。 しるしとしるしの間の長さをものさしではかり、記ろくした。

《わかったこと》

つるは、ねに近いところはほとんどのびない。つるは、さきをどんどんのばして長くなる。

おわりに

 このけんきゅうで一番たいへんだったことは、4か月間ずっとかんさつをつづけることでした。一番うれしかったことは、花のめをのばして、さいしょに花がさいたときでした。一番ふしぎに思ったのは、花がかれたあとに、バナナのようなさやができたときでした。そのままのこるだろうと思っていたのに、ほとんど下におちて、のこったさやが大きくなるということにびっくりしました。

指導について

指導について小倉 康

 理科の自由研究が好きな3歳上の兄が、毎年賞状をもらうのをただうらやましく見ていた妹は、小学生になると自分も自由研究をやりたいと言い出し、1年生の夏休みの大半をそれに費やした。2年になった4月に庭の若いフジの木が初めて花芽を付けた時、花の大好きな彼女は、今年の自由研究のテーマとして、フジの観察に強い興味を示した。2日ごとに決まった場所を観察し測定するのは容易なことではないが、対象が好きだったことと、様子が日々生き生きと変化していくことが、観察意欲を継続させたと思う。しかし、観察を忘れそうになったり、意欲が湧かなかったりした日もあった。親としては、意欲喚起に努めたほか、観察中に彼女が感じた疑問を必ずメモさせたり、どうすればそれらの疑問が解決できるかを考えさせたり、彼女だけでは難しい作業を手伝ってあげたりした。研究論文に仕上げるまでの道のりで、彼女は理科にとどまらず、さまざまな力を身に付けたと思う。

審査評

審査評[審査員] 星野昌治

 幼稚園のふじ組だった2年生の小倉永里さんは、ふじの木に惹かれ興味をもち、お父さんに言って、家の庭に植えてもらいました。庭のふじの木が、初めて花の芽をつけたことをきっかけに、「こ れからどうなっていくのかな」に関心をもち、「花の芽のかたまりが他の花のつぼみのように、そのまま開いて花を咲かせるのかな」等の11もの疑問を基に、4ヵ月間、毎日観察をし続けました。
 そして、その結果を、たくさんの細かで正確なスケッチや写真、文で表し、およそ140ページの研究物にまとめました。そのすごさに、圧倒させられびっくりし、感心しました。身近な木の観察を通 して、たくさんの疑問や不思議さを見つけ、知的好奇心をもって、一つ一つ丁寧に調べていく姿勢は、とても立派です。
 植物の変化は、根気強く、継続して観察していかなければ、よく分かりません。小倉さんの研究がそのことを実証してくれています。200以上もあるつぼみや花びらを、毎日精密にスケッチすることは大変な苦労だったと思います。とても価値ある観察研究でした。

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