スライムは比較的安価で、生成もホウ砂の水溶液と合成洗剤のり(PVA)を混合するだけと非常に容易であるため、多くのイベントで見かける。私も「中高生のための科学の祭典」というイベントがきっかけでスライムについて研究を始めた。そんな時に札幌南高校の学校祭でPVAに食塩水を加えて白いゲルをつくる実験を行っているのを見た。この実験は、スライムと違った原理ではあったが、この実験にはナトリウムイオンが関わっていると聞き、PVAと金属イオンに何か関係があるのではないのかと考え、本論文ではPVAと金属イオンの関係について探究を始めた。
ホウ酸イオン以外でPVAをゲル化できるものにはCu2+、Fe3+、Ni2+といった遷移金属のイオンがあり、これらはPVAがそれぞれの金属イオンに何らかの形で配位していると考えられる。そのため、今回生成したスライムは共有(配位)結合で架橋構造がとられている可能性が非常に高いと考えられる。
本研究は未知なことが多いため、実験方法も試行錯誤した。だが、本研究を通して得られた化学の知識は膨大で、化学の本当の面白さに触れることができたと思っている。高校に入っても何らかの形でこの研究を続けていきたい。