- 東京都立小石川中等教育学校 3年
柗元 洸樹
-
第61回入賞作品
中学校の部
佳作
研究の動機
中学1年生のとき、理科の先生に金樹や銀樹、銅樹をつくる実験をさせてもらい、ろ紙上で自然に光沢のある樹枝状の金属結晶が成長する反応に興味を持った。
しかし、金樹は作製に用いる試薬、テトラクロロ金(Ⅲ)酸が大変高価であるため、おいそれとは作製できない。同時期、銅板を加熱した亜鉛粉と水酸化ナトリウム混合溶液に入れると、銀色になり、さらにそれを加熱すると金色になるという、正に中世の憧れであった錬金術のような実験を知った。
そこで、比較的安価に作製可能な銅樹にこれらのめっきを施すことで、疑似的な金樹や銀樹が作製できないだろうかと考えて本研究を始めた。
結論と感想
- イ.
- 光沢のある金属樹とは結晶表面が平面的なものであり、錯体の生成や酸化還元電位の貴な還元剤を用いることにより銅樹の成長を抑制することで作製できる。
- ロ.
- 黄銅めっきに最適な銅樹の作製法は以下の通りである。溶液:20mol/L塩化銅(Ⅱ)水溶液2mL+過剰なアスコルビン酸の添加還元剤(金属板):5mm角鉄板 ろ紙:半径55mmセルロースろ紙 反応時間:24~72時間
- ハ.
- 均一で色斑のないめっきは無電解めっきを用いることで施しやすいが、現状ではろ紙が侵される可能性が高く、電解めっきの方が適している。
- ニ.
- 現状最適な亜鉛めっきの方法は以下の通りである。溶液:1mol/L硫酸亜鉛水溶液 陽電極:亜鉛板 陰電極:炭素棒 電圧:2V
- ホ.
- 亜鉛めっきの合金化は格子欠陥があることにより比較的低温でも起こる。
ページトップへ