第61回入賞作品 中学校の部
佳作

数理モデルによる新型コロナウイルス感染者数と死者数の分析

佳作

愛知県愛知工業大学名電中学校 2年
庄司 紘都
  • 愛知県愛知工業大学名電中学校 2年
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  • 第61回入賞作品
    中学校の部
    佳作

    佳作

研究の動機

 生物の個体数増加のモデルに「ロジスティックモデル」があり、そのモデルは最終的に生物の個体数が飽和するという特徴がある。時間を横軸、生物の個体数を縦軸に取ったグラフは「S字型」の曲線となる。この生物の個体数増加がロジスティック関数で表される例として、酵母などが知られている。このグラフの形は新型コロナウイルスによる感染者や死者数の総数のグラフに似ており、新型コロナウイルスにもこのロジスティックモデルが適用できるのではないかと考えた。最初に、すでに収束した第1波の感染者数と死者数がロジスティックモデルで表されることを検証した。次に、第2波の感染者数と死者数に対してロジスティックモデルを適用し、第1波と第2波の感染者数と死者数の関係、感染者数のピーク時期と死者数のピーク時期の関係、お盆休み以降の感染者数増加について考察した。数学の目で感染者数や死者数の変化を観察すると、より詳しく、感染者数増加と死者数増加の関係などの法則が見つかるのではないかと考えた。

結論と感想

 生物の個体数の増加を表すロジスティックモデルを新型コロナウイルス感染者に適用した。ロジスティックモデルを適用した結果、ステイホームをしていた第1波では、新型コロナウイルスの感染者の総数と1日当たりの平均感染者数の実際の数と計算値とがよく一致することが分かった。ロジスティックモデルでは、1日当たりの平均感染者数がピークを迎えたとき、感染者の総数の2倍が最終感染者の総数となる。この計算手法を使うと、1日当たりの平均感染者数がピークを迎えたとき、その後の感染者の総数と感染拡大期間が推定できる。しかし、第2波では8月20日から実際の感染者数と計算値にかい離が見られた。実際の1日当たりの平均感染者数と計算値との差が新たな感染者の増加と考えると、第2波の感染者数の計算値が収束する10月下旬からは、新たな感染者数の増加の影響が大きくなるため、1日当たりの感染者数は徐々に増加に転ずると考える。
 また、1日当たりの平均感染者数が最大となってから、1日当たりの平均死者数が最大になる日までは約3週間であり、感染者数が新たに増加し始めた8月20日から約3週間後の9月10日に死者数の増加がみられる。現在の死者数の増加は約3週間前の感染者の増加が影響していることが分かる。つまり、感染者数が減少しても医療従事者は懸命な医療を続けている。感染者数が減少しても、油断することなく感染症対策をしっかりと行い、医療従事者に負担をかけないよう努力する必要がある。普段の生活に戻ることができても、第3波によりさらなる追い打ちをかけられることもあるだろう。しかし、人類がいつか免疫を獲得し、たくさんの人の命を奪った新型コロナウイルスに勝つことを望んでいる。

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