研究の動機
小5のときに、視力が急激に低下した(右目0.1 左目0.4)。しかし、眼鏡をかけたくなかったので、眼鏡をかけずに視力を取り戻す方法はないかと思い、昨年、このテーマについて研究を行った。
調べてみると、私だけでなく近視の子供が増加していて、日本でも海外でも大きな社会問題になっていることを知った。また、屋外で過ごし太陽光を浴びるだけで近視の進行を抑制することができることを知り、大きな衝撃を受けた。
太陽光による近視予防に関する詳しいメカニズムを調べると、太陽光に含まれる波長360-400nmのバイオレットライトが近視進行抑制効果があることがわかった。より詳しい話を聞くために、この研究を行っている慶應義塾大学病院の鳥居先生に取材をした。
昨年、GIGAスクール構想に取り入れてほしいアイディアとして、バイオレットライト透過型の屋根や窓について提案した。
素材メーカーの方に取材をし、素材となるプラスチックに技術的な加工をすることによって特定の光の波長をカットまたは透過させることができることがわかった。この取材を通して、身近にある物などを利用して、バイオレットライト透過型の窓・屋根に見立てた実験を行うことにした。また、1日2時間以上太陽光を浴びて視力が改善するかどうかの実験についても、昨年と同様に効果を確認した。
結論と感想
太陽光を浴びる実験では、より信頼性の高いデータにするために、浴びた紫外線の量と天気を記録した。その結果、視力は、実験開始115日後、右目は0.1から0.15、左目は0.6から0.7に改善した。
また、バイオレットライト透過型の窓や屋根に見立てた実験については、眼鏡、照明用カラーフィルター、日焼け止めを塗ったクリアファイル、日焼け止めに使われている紫外線防止剤を塗った透明な食品用パックにバイオレットライト(最大波長365nmのブラックライトを利用)が透過するかどうかを確認する4つの実験を行った。全ての実験において何度もやり直しをしたりと苦労はあったが、紫外線防止剤に関しては、スペクトルの特徴に沿った結果が得られた。
実験を進める中で、日焼け止めの容器に表示されている成分を調べたところ、日焼け止めには共通の紫外線防止剤が含まれていることに気が付いた。
また、これらの化合物の紫外線の吸光度と透過率を調べたところ、360~400nmを透過する、近視対策に理想的な成分であることがわかった。それぞれの化合物のスペクトルの特徴を生かすことができれば、目的や用途に合わせたバイオレットライト透過型の屋根や窓を作ることができると思い、アイディアとして取り上げた。
政府と学校が近視対策を具体的に進めるようになればと思い、去年と同様に今年も、この研究を文部科学大臣、デジタル大臣、港区教育長、三田中学校に提出した。
また、この研究で提案したアイディアを実現化させることによって、子供を中心とした近視の人口を少しでも減らしたい。