ソデ橙型 |
父の転勤で奄美大島に来て2年目になる。奄美大島固有種がたくさんいることに感動している。この夏、弟が「オニグモを見つけたよ」とクモを持ってきた。オニの顔のような模様の小さなクモだった。本で探していくと、奄美大島以南に住むチブサトゲグモだと分かったが、詳しい情報があまりなかった。ぼくの家の近くにたくさんいるこのクモについて、よく知りたいと思った。
方法
平成19年7月24日から8月31日までを研究期間とした。 チブサトゲグモの
1) | 体のつくりについて:ルーペで観察して記録した。 |
2) | 分布:地図上に、採集した地点を赤い点で、調べた地域を青色、見つけた地域を赤色で塗った。 |
3) | 巣を張る方向:巣を張る方向に対し、オリエンテーリングコンパスの横を巣にあわせ、磁北線の方向を見て、北を0°として方向をはかった。 |
4) | 模様の分類:①模様の分類分けをした。②出現率を比で表した。 |
5) | 模様と分布:嘉渡、幾里、秋名の集落において分類別に見つけた位置を地図に記し、分布と傾向を調べた。 |
6) | 大きさ:①クモの横・縦を測った。②横×縦で大まかな面積を出した。③横と縦の長さの傾向を調べた。模様と色の大きさの関係を調べた。 |
チブサトゲグモの生息域は標高の低い海岸から0.8km以内の人家付近で、森の中や草の多いところにはいないことが分かった。小さな虫を捕まえているからではないかと考えられる。巣を張る方向は60°~119°が多く、特に90°前後に巣を張ることが分かった。チブサトゲグモの甲らの模様は4種類であると文献には書かれていたが、採集したものは、6種類に分けることができた。同じ模様は集中して分布していることが多く、遺伝も関係しているのかもしれない。腹部の甲らは、横8mm~10mm、縦7mm~10mmの長さで、正方形に近い形になっている。小さな個体は黒色、大きい個体は橙色、茶色が多いことが分かった。