小さい頃からクワガタムシが大好きです。クワガタムシがいっぱいいる沖縄県・西表島の幼稚園に転園したのをきっかけに毎年、クワガタムシのことを調べてきました。中学1年生までに私が調べたこと、今年取り組んだ研究をまとめてみました。
野外観察・採集・標本づくり・飼育観察と実験、およびこれらの写真・ビデオによる記録撮影
・バナナトラップを使っての観察。
・白いシーツに水銀灯やブラックライトをあててクワガタが集まるのを待つ。
オキナワマルバネクワガタ
マルバネクワガタの特徴比較
1.沖縄県にいるクワガタムシ
沖縄県には、日本にいる72種類のクワガタムシのうち19種類のクワガタムシがいる。
・沖縄島周辺(8種類):オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタ、リュウキュウコクワガタ、オキナワネブトクワガタ、ルイスツノヒョウタンクワガタ、マメクワガタ、オキナワマルバネクワガタ、イヘヤネブトクワガタ(伊平屋島)
・久米島(2種類):オキナワヒラタクワガタ、クメジマノコギリクワガタ
・南北大東島(2種類):ダイトウヒラタクワガタ、ダイトウマメクワガタ
・西表島(6種類):サキシマヒラタクワガタ、ヤエヤマノコギリクワガタ、ヤエヤマネブトクワガタ、ヤエヤママルバネクワガタ、チャイロマルバネクワガタ、ヤエヤマコクワガタ
石垣島(6種類):サキシマヒラタクワガタ、ヤエヤマノコギリクワガタ、ヤエヤマネブトクワガタ、ヤエヤママルバネクワガタ、チャイロマルバネクワガタ、マメクワガタ
・与那国島(3種類):ヨナグニマルバネクワガタ、ヨナグニネブトクワガタ、サキシマヒラタクワガタ
2.まだ出合ったことのないクワガタムシは2種類
与那国島(1種類):ヨナグニマルバネクワガタ
沖縄島周辺(1種類):イヘヤネブトクワガタ(野外では西表島のヤエヤマコクワガタも)
3.クワガタムシの1日の生活
夕方6時半から出て、朝の5時までいる。あさ5時半からはもう出てこなかった。つまりクワガタムシの生活は日の沈むころに始まり、日が昇るころに終わる。
午後7時半から午後11時半までの間にえさの場所や木の場所にいっぱい出てきて午前2時ころからだんだん帰り始めるようだ。
4.冬場のクワガタムシの観察
オキナワヒラタクワガタの場合、気温が20度を下回る冬場(1~3月)は、暖かい昼間に樹液を吸いに出てくる。しかし昼間でも気温が14度を下回ると出てこない。4月に入りき気温が20度を超える日が続くと、夜間に出るようになる。つまりオキナワヒラタクワガタは1年中出てくることがわかった。
5.クワガタムシによってえさが違う
・果物や樹液が好きなクワガタムシ(9種類):オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタ、リュウキュウコクワガタ、オキナワネブトクワガタ、クメジマノコギリクワガタ、サキシマヒラタクワガタ、ヤエヤマノコギリクワガタ、ヤエヤマネブトクワガタ、チャイロマルバネクワガタ(オキナワネブトクワガタは黒く腐ったバナナにしか来ない)
・朽木の中で他の虫を食べるクワガタムシ(3種類):ルイスツノヒョウタンクワガタ、マメクワガタ、ヤエヤマコクワガタ
・えさがわからないクワガタムシ(5種類):ダイトウヒラタクワガタ、ダイトウマメクワガタ、ヨナグニマルバネクワガタ、ヨナグニネブトクワガタ、ヤヤマコクワガタ
6.木の高さとクワガタムシの種類
木の高所、低所によって集まるクワガタムシの種類が違う。
・木の低いところ:オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタ、リュウキュウコクワガタ、オキナワネブトクワガタ
・木の高いところ:オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタ、リュキュウコクワガタ
7.土地の高さとクワガタムシの種類
標高によって集まるクワガタムシの種類が違う。
・土地の低いところ(海抜40m以下):オキナワヒラタクワガタ
・土地の高いところ(海抜200m以上):オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタ、リュウウキュウコクワガタ、オキナワネブトクワガタ
8.クワガタムシの大きさの違い(実験中)
視点・・・1.えさの量2.土の栄養(幼虫はたんぱく質や炭水化物で成長。発酵マットの作り方がわかった)3.親の大きさとの関係4.気温との関係
9.クワガタムシの卵から成虫まで
オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタ、リュウキュウコクワガタはマット飼育で1年以内に成虫になり、野外に出てくる(図鑑では足かけ3年)。
オキナワマルバネクワガタは1匹で67個以上の卵を産み、成虫になるまで1年以上かかる(2003年9月観察中)。また湿ったマットの中ではうまく育たないこともわかった。
10.沖縄のクワガタムシの探し方
指導について後藤岳二
本研究は、保育園のころから興味を持っていたクワガタムシについて、沖縄の西表島に転校したのをきっかけに小学1年から中学2年まで研究したレポートである。
西表島にいる頃は採集、飼育をし、遊びを通してクワガタムシに接してきたが、沖縄本島にもどってきた小学3年からは科学的な視点に立ち定期的、定量的な観察を続けている。
以来、観察場所の沖縄本島北部の山原に毎週通いながら、種類別(5種)の出現期の観察をはじめ、1日の生活、木や土地の高低差による種類の違いなどを観察し、仮説を立てながら研究を続けるようアドバイスをしてきた。
また、累代飼育をしていると小さなクワガタムシしか羽化してこないことから、クワガタムシの大きさは親の大きさが幼虫時代の環境の違いによるものではないかと考え、現在仮説に基づいて実験中でもある。
本人は、沖縄のクワガタムシ19種類全種に出合いたい(現在17種)という夢を追い続けており、また、沖縄のクワガタムシの面白さ、素晴らしさをみんなに伝えたいという思いも持っている。これからも疑問に感じたことを粘り強く追い続けていく頃を期待する。
審査評[審査員] 高家博成
この作品は8年間にもわたって沖縄の島じまのクワガタムシとつきあい、いろいろな観察をしてまとめたものです。審査員一同みな感心していました。
沖縄の自然のなかにあって、いつも生態が観察できる、ということは虫好きな者にとってはうらやましいかぎりです。その結果。発生時期、体長をはじめ、形態の変異などの詳しい記録は、専門家も大いに参考になることでしょう。この詳しい記録は、ぜひ専門の雑誌にも報告してください。
なお、今後は沖縄のクワガタの保護と増殖などについても研究してください。
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