アミガサハゴロモの幼虫を初めて見た時、奇妙で不思議な形に興味を持った。図鑑でも詳しいことは載っていないので、自分で調べてみることにした。小学3年から研究を続けて「アミガサハゴロモの図鑑」としてまとめてきた。今年は、生息分布を調べ、生息地の森とはどのような環境か、生息地の森が持っている役割等を調べることにした。
方法
1) | アミガサハゴロモを採集してきた宗源院の森で、 | |
① | 温度、湿度、カシの葉の気孔を調べ、生息していない場所と比較した。 | |
② | 植生を調査し、生息している動物についてもまとめた。 | |
③ | 生息している場所で、アミガサハゴロモを詳しく観察した。 | |
2) | ① | 「浜松市緑の分布図」を参考に宗源院と同じ植生の森と違う森を選んで調査し、比較検討した。 |
② | 昭和30年代の地形図と昭和62年の航空写真から、調査した森のつながりについて調べた。 |
分かったこと
アミガサハゴロモは、常緑広葉樹が主な斜面林の林縁部のカシ類の木に寄生する・幼虫は林縁部のカシ類の幼木がある低木層や草本層に見られる・幼虫はカシ類の幼木からだんだんと生息域を広げていく・幼虫は一時的にヤブガラシに寄生し、伸びていくつるを利用してカシ類へと移動するものもある・羽化後の成虫は低木層にいるが、しばらくするとカシ類やクスノキの高木層の林冠部へと生息域を変えていく・アミガサハゴロモの生息が確認できた森林ではクロマツが少なく、スダジイ、ミミズバイ、アラカシ、シラカシ、クスノキ、アオキなどの陰樹が多い・宗源院の森は極相林に達しつつある常緑広葉樹と常緑針葉樹の混交林である・森は高木層、亜高木層、低木層、草本層の階層で構成されていて、全ての層が互いに関連しているので、どれか一つの層が欠けても生態系のバランスが崩れる・島状に残された市街地の森にも多種多様な生物が生息している・島状に残された古い森をつなぐ「緑の回廊」としての緑地が新しく増えていくことが都市林に残された生態系を守るために必要である。
ヤブガラシの葉上の終令幼虫 |
シラカシの葉上の成虫 |
宗源院南側の林縁・採集場所 |