今年3月に発生した福島第一原発の事故により、自分の家の放射線量を測定した。調べると、震災前の福島市の平常時のおよそ9倍であることが分かった。そこで、自宅の放射線量を測り、どんな放射線の分布をしているのか知りたくなり、研究を進めた。
方法
(1)空間の放射線分布測定
① | 縦44cm×横33.5cm×高さ25cmの箱を複数用意し、ひとつの箱の角に線量計(GammaRAE2Rγ線検出器、CsIシンチレーター)を固定させた。室内の225点の測定位置で、箱の積み上げや移動を繰り返して放射線量率(γ線)を測定した。 |
② | 部屋の周囲、屋外の線量を測定した。 |
③ | 測定した線量値を座標値ごとに表形式でパソコンに入力してデータ化した。3次元グラフ作成フリーソフト「Graph-R」を使って散布図を作った。 |
(2)放射線の遮へい効果確認
下記の条件でそれぞれ室内の線量値を測定した。
① | カーテンを閉めた |
② | カーテンを開けた |
③ | ガラスサッシを開けた、窓際に |
④ | 木の板(縦45cm×横185cm×厚さ3.3cm)1枚 |
⑤ | コンクリートのブロック(縦19cm×横39cm×厚さ10cm)6個 |
⑥ | 水入りポリタンク(縦35cm×横35cm×奥行18cm)4個を置いた。 |
(3)屋外での除染効果
コンクリート通路の1.5m×1.5m内5箇所を
① | デッキブラシによる水洗浄 |
② | 高圧洗浄機による水洗浄し、除染前後の線量値を測定した。 |
(4)除染効果の評価方法について
コンクリート路面のかけらをサンプルとして、バックグランドの線量値が低い室内に運んで洗浄前後の線量値を測定した。
結果・考察・分かったこと
(1)線量分布には明らかに屋外の放射線の影響を受けた偏りがあった。室内では床付近が最も放射線量率が低かった。床下の土は汚染されていないためだと考えられる。
(2)水入りポリタンクとコンクリートブロックなどの遮へい物によって放射線量は減少できた。
(3)除染効果の確認は周辺の線量に注意し、除染は高線量の箇所から行わないと効果は低いことが分かった。
室内放射線分布の3次元散布図