みんなは、ダンゴムシとワラジムシの区別がつきますか? では、どんな虫か知っていますか?
ぼくも最初は、あまりよく知りませんでした。でも、去年、落ち葉とダンゴムシやワラジムシとの関係を調べているうちに、林には、必要な虫だということがわかってきました、
落ち葉などを食べて、栄養タップリの土に変えてくれるのです。もっとくわしく知りたくて、
図書館で本をさがしたけれど、これらの虫についてかいてある本はあまりありませんでした。
そこで、この2種類の虫について、ぼくなりに調べてみることにしました。
ダンゴムシとワラジムシの歩行能力実験
目的
すい直な面に登ることはできないか
方法
あつ紙、板、プラスチックの板の角度を変えて、ダンゴムシとワラジムシを
それぞれ3匹ずつ歩かせた。
結果
① | あつ紙は両方とも0°090°まで |
② | 板はダンゴムシが60°まで、ワラジムシは10°まで |
③ | プラスチック板はダンゴムシは15°まで、ワラジムシは30°まで |
ダンゴムシとワラジムシの歩行能力実験
実験1明るい場所と暗い場所を半分ずつにして、どっちに移動するか、10匹ずつで10回観察した。
実験2
目的
明るさは目でわかるのか、しょっ角も関係しているのか
方法
① | あつ紙は両方とも0°090°まで |
② | 板はダンゴムシが60°まで、ワラジムシは10°まで |
③ | プラスチック板はダンゴムシは15°まで、ワラジムシは30°まで |
実験3
目的
目で明るさがわかるか
方法
目を紙でかくし、実験1と同じように観察した。 かんたんな迷路でどちらに行くか調べた。
で、実験1と同じ観察をし、20回ずつ観察した。
結果
ダンゴムシもワラジムシも明るいか暗いかを目で判断していることがわかった。
ただ、しょっ角がないと、歩行能力がかなり失われてしまうようだ。
ダンゴムシとワラジムシの歩行能力実験
実験1目的
しょっ角はにおいを感じるのか
方法
食物をおかずにT字迷路を20回、次に右に食物を置いて20回、さらに左に食物を置いて20回、同じダンゴムシ、ワラジムシを歩かせた。 3匹ずつで調べた。
結果
ダンゴムシもワラジムシも食物がある方向へ進むようになった。
実験2
目的
しょっ角がある時とない時でどのてい度のちがいがあるのか
方法
食物を右に置き、しょっ角が2本のダンゴムシで実験1と同じ迷路を20回、さらに、
結果
実験3
ダンゴムシの食物好ききらい
目的
落ち葉やくさった木の他にはどんなものを食べるのかな?
方法
ケースにダンゴムシ、ワラジムシをそれぞれ20匹ずつ入れて、いろんな食物を置いて観察した。
結果
ダンゴムシもワラジムシも長ねぎ・玉ねぎ・にんにく以外は全部食べた。
人気食物ベスト3は、えのき・さつまいも・しめじだった。
ダンゴムシの食物好ききらい
実験1目的
方向探知能力があるか
方法
50回迷路を歩かせ、どの方向に歩いたか記録した。
結果
ダンゴムシはルート(1)を20回、ルート(2)を22回歩いた。実験2
直進できないように、迷路を改良した。
結果
ダンゴムシはルート(1)が33回になった。次に多かったのはルート(3)と(4)だった。
実験4
結果
タンゴムシは全く方向かんかくを失ってしまったようだ。入ってすぐのしょう害物にダンゴムシ、ワラジムシの迷路実験
実験1目的
かんたんな迷路で左右こうごに進むことを確かめる
方法
はば1cm、高さ1.5cmの画用紙で迷路を作り(図3)、4匹ずつ20回歩かせた。
結果
ダンゴムシは左右こうごに進むことがわかった。実験2
目的
しょっ角と方向の関係
方法
①右のしょっ角わないもの、左のしょっ角のないもの、ダンゴムシ、ワラジムシ2匹ずつに結果
1本しょっ角がなくても、方向能力には関係はないようだ。
②しょっ角を2本ともとって、同じ実験をした。
結果
ダンゴムシはしょっ角がある時と比べると3倍ぐらいおそくなった。方向かんかくはダンゴムシ、ワラジムシの迷路実験
目的
迷路の通路を長くしたら記おくはどうなるか
方法
はば1cm、高さ7mmの画用紙で図3の(1)と(2)の間が長い(30cm)迷路を作り、
結果
タンゴムシは、左右に進むことが多く、長くても自分が最初にどっちに曲がったかはおぼえているみたいだ。ワラジムシも同じだった。実験2
結果
タンゴムシもワラジムシも最初にどっちに曲がったかは、記おくしているようだった。
指導について千葉県流山市立長崎小学校 橋本 淳
丸井前希くんは、これまでも身近な生物の生態をテーマにたくさんの研究に取り組んで
きました。今年の夏も、ダンゴムシとワラジムシの採集から始まった今回の研究・実験にもたくさんの努力を積み重ねました。
科学技術舘サイエンスクラブの会員である丸井君は、祭典の折りに昆虫が迷路を歩く実験を見て、今回の研究のソースを入手しました。そして、
これまでの研究で丸井君にとっては親しみのあるダンゴムシとワラジムシにはどんな能力があるのだろうかという疑問に向かって、研究をスタートしました。
今年の夏は暑さと乾燥のため、ダンゴムシやワラジムシの採集から思うようにはいかず、
ムシを集めるための工夫も必要となりました。百匹ほど集めたムシたちもそれぞれ個性が
あるため、その能力を見極めるためには、実験の回数を積み重ねる必要があり、データの
集積に取り組みました。
そして、そんな実験の積み重ねの中にも実験に耐えられない個体があったり、結果が得られない実験があったり、多くの実験回数をこなしていきました。
そして、さらなる疑問が生じると、新たな実験方法を考え、データを集積しました。
手作りした実験装置で、一つの実験を50回も繰り返した根気強さには本当に感心させられ
ます。こうしてまとめ上げられた研究の陰には、保護者の並々ならぬ支えがあってのものと思います。
今回の受賞を励みに、これからも身近な生物の自然の中での営みと、私たち人間の営みとの関わりに興味を持って、広がりと奥行きのある調べ活動を通して、明らかにしていって欲しいと願っております。
審査評[審査員] 金子 明石
この研究の発端は、ワラジムシとダンゴムシのちがいを見つけようとして図書館で調べ
ようとしたことにある。小学較5年生にとってよく分かる答えが見つからなかった。
それでは僕自身で調べようじゃないか、と観察し、スケッチをし、生態観察をしています。
これまでタンゴムシについての作品は、かなりありましたが、ワラジムシとダンゴムシについて、これほどくわしく観察し、わかりやすく比較したものはなかったと思います。
この点で評価されました。
体のちがいのほかに運動能力のちがい、感覚のちがい、脱皮のちがいなど、実に様々の角度から実験観察をおこなっているところがすばらしい。触角の働きは単に、 においを感じ
たり、食べ物をさがしたり、移動したりするのに役立っているばかりでなく、生命の維持にも必要なものであることを継続観察で明らかにしています。
たったひとりでこれだけの継続観察と記録をとって整理した5年生に感服しました。
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