第62回入賞作品 小学校の部
3等賞

おじぎ草4 ~感覚をまひさせることによるしげきへの反応~

3等賞

岐阜県岐阜大学教育学部附属小中学校 5年
岐阜県岐阜大学教育学部附属小中学校 5年
岩田 康誠
  • 岐阜県岐阜大学教育学部附属小中学校 5年
    岩田 康誠
  • 第62回入賞作品
    小学校の部
    3等賞

    3等賞

研究の動機

 さわるとパタパタと葉を閉じる様子が面白く、小学2年生の時からおじぎ草の研究を始めた。今回が第4弾の研究になる。さまざまな刺激におじぎ草がどう反応するのか、研究第2弾までにたくさんの実験をした。その結果、おじぎ草は刺激を受けると反応するけれど、自然界で当たり前の雨や風、虫による刺激にはあまり反応しないことがわかった。特に興味深かったのは、雨への反応だ。水への反応を確かめる実験の最中に、雨が降ってきた。すると水の刺激では葉が閉じていたのに、水の刺激がなくなり雨粒が当たるだけになると葉は開いた。そこで研究第3弾は、雨がおじぎ草にとって刺激ではないのかを調べてみた。その結果、おじぎ草にとって雨は、葉を閉じるための刺激ではないことがわかった。
 刺激について考えるうち、もしおじぎ草に刺激された感覚がなかったら、と思うようになった。研究第4弾の今回は、おじぎ草の感覚をまひさせる実験を行った。

おじぎ草の基本情報

 マメ科ネムノキ亜科のおじぎ草は、南アメリカ原産の植物だ。夜に葉を閉じることから、ねむり草ともいう。沖縄県など亜熱帯、熱帯地方では野外で繁殖し(雑草状態)、夏に薄紅色の花が咲く。さわると葉が閉じてたれ下がるため、おじぎ草と呼ばれている。1枚の葉は4つに分かれ、4つそれぞれに小さな葉が向かい合ってついている。その小さな葉が運動する。


おじぎ草の葉のつくり

実験①~④

 今回の研究テーマは「おじぎ草の感覚をまひさせることによる刺激への反応」だから、どんな方法でおじぎ草をまひさせるかを考えた。その結果、実験①麻酔効果により感覚をまひさせる、実験②しびれにより感覚をまひさせる、実験③酸素量を減らして酸欠状態にする、実験④冷たさにより感覚をまひさせる、を行うことにした。

実験①麻酔効果により感覚をまひさせる

 薬局で買える「キシロA軟膏」(局所麻酔剤リドカイン配合の殺菌消毒薬)と「ワセリン」(ただの保湿クリーム)を用意した。もし「キシロA軟膏」を塗った葉だけが刺激に反応しなかった場合、麻酔成分の効果が出たと判断する。「キシロA軟膏」と「ワセリン」それぞれをおじぎ草の葉に塗った後、葉に刺激を与えて反応を確かめる実験を5回行った。その結果、「キシロA軟膏」を塗った葉だけが、刺激に反応しなかった。「キシロA軟膏」での実験結果は下表のとおりだ。

 実験①から、麻酔効果でおじぎ草はまひし、刺激に反応しなくなることがわかった。実験を行った日の夜、「キシロA軟膏」をに塗った葉だけが閉じていなかった。次の日も「キシロA軟膏」を塗った葉は全く反応せず、3日目に枯れてしまった。「キシロA軟膏」を塗ってから時間が経ったほうが麻痺する効果は高まり、その効果は2日間ほど続いていた。

実験②しびれにより感覚をまひさせる

 タバスコが出しているソースのなかで最も刺激が強い「スコーピオンソース」を用意した。どの程度の辛さかというと、タバスコ「オリジナルソース」の辛さ指標が2500~5000なのに対し、「スコーピオンソース」は2万3000~3万3000と、10倍の刺激だ。
 1回目の実験ではソースを葉にかけた瞬間、ソースがかかったところだけ葉が急激に閉じ、だらんとたれ下がった。葉はそのまま開くことなく、翌朝には枯れてしまった。
 2回目の実験ではソースを直接かけるのではなく、筆で塗ることにした。葉Aの葉へい部分、葉Bの副葉ちん、葉Cの葉の表に筆でソースを塗り、10分後にそれぞれの葉を刺激したところ、葉が閉じた。確認のため、葉Dの葉へいと葉Eの副葉ちんに今度はたっぷりソースを塗り、それぞれ24分後に葉を刺激したところ、ゆっくり閉じた。葉の表にソースを塗ったCは枯れてしまった。実験②から、辛さの刺激でおじぎ草の葉はまひしないこと、刺激が強すぎて葉が枯れることがわかった。

実験③酸素量を減らして酸欠状態にする

 酸欠状態は次のように作った。おじぎ草の鉢を網状のプラスチックケースふたつで上下から囲むようにし、おじぎ草がつぶれないようにする。プラスチックケースごと布団圧縮袋に入れ、掃除機で空気を抜いた。
 最初の実験は空気を抜く作業をしているうちに振動で葉が閉じてしまい、そのまま開かなかった。刺激の与えようがなく失敗してしまった。2回目の実験は通常なら葉が閉じる夕方の時間に行ったため、結果を確定できなかった。最終的におじぎ草の葉がよく開いている午前11時30分から実験を始めることにし、葉が開いているのを確認してから掃除機で空気を抜いた。その状態のまま針金を使って葉の先をさわり、葉の先をたたき、葉の中央をさわり、副葉ちんをたたき、葉へいをたたいたが、反応はなかった。さらに、反応しない状態がどれくらい続くのか、追加実験で確かめた。酸欠状態で反応しなくなったおじぎ草の鉢を圧縮袋から出し、時々刺激を与えて反応するまでの時間を計測した。
 実験③から、おじぎ草は酸欠状態になると感覚がまひして刺激に反応しなくなること、そして感覚のまひは3時間ほど続くことがわかった。


針金を使って葉に刺激を与えている様子

実験④冷たさにより感覚をまひさせる

 氷を入れた発泡スチロールの箱を用意した。箱の中におじぎ草の鉢を置き、鉢の土の上にも氷を載せ、副葉ちんも上と横から氷で冷やすようにする。それから実験対象の葉を決めて、葉を保冷剤に載せるようにし、葉の上には氷を置いて挟んで冷やした。10分後に氷をはずすと、氷が載っていたところだけ葉が開いたままだった。開いた葉に指で刺激を与えたが、反応しなかった。
 実験④から、葉を保冷剤と氷で挟むと、おじぎ草はまひして刺激に反応しないことがわかった。氷だけで冷やした場合もゆっくりとしか反応せず、ある程度はまひさせることができた。ただ、まひ状態は長くても1時間ほどしか続かなかった。

研究のまとめと感想

 おじぎ草をまひさせる効果が高かった方法を順番に並べると、1位が麻酔(効果は2日ほど)、2位が酸欠状態(効果は3時間)、3位が冷たさ(効果は長くて1時間ほど)となる。ただ、実験直後の反応の顕著さで順位をつけると、酸欠状態、冷たさと続き、麻酔は3位になる。今回、最も興味深かったのは酸欠状態の実験だった。あまり効果を期待していなかったので、結果に驚いた。高山の空気が薄い場所や、宇宙のように酸素がない空間では、おじぎ草はどうなるのか。それを知るには、おじぎ草が葉を動かす仕組みを詳しく調べる必要があると思う。おじぎ草は水分移動で葉を開閉すると本にあったが、水分移動というより、人間の神経のような役割の何かがあると考えたほうが自然で、納得ができる気がした。
 今後は今回の実験で効果を確かめたものを使い、もっとていねいに実験したいと思う。

指導について

岩田 香織

 小学校2年生の時、ホームセンターのレジの横で見つけた動く植物。それが面白くて始めた研究が、今年で4年目となりました。「なぜ動くのか」「どういう時に動くのか」にこだわり、1つ1つの疑問を解決するように、毎年実験を繰り返していきました。昨年の「雨は刺激ではないのか」の研究では、雨の中ストップウォッチを持ち、ずっと観察を続けていました。今年の「おじぎ草の感覚を麻痺させたらどうなるのか」は、地道な観察をしている時に思いついたようで、個人では研究のための満足な道具がそろわない中、今ある環境で出来る、最大限の方法を考えながら取り組む実験となりました。その中で、本に書かれている事に疑問を持ち、自分なりの考えを導き出したことは、素晴らしい成長で成果だったと思います。子どもと同じ目線で、一緒に悩み考え驚き喜んだ研究が、今回3等賞という名誉な賞をいただくこととなり、私共親子にとって人生の宝となりました。

審査評

[審査員] 邑田 仁

 この研究はオジギソウの葉の運動についての実験・観察で、研究を始めてから4年目の成果をまとめたものです。オジギソウの葉の運動はすでにギリシヤ時代に観察記録が残されているそうですが、その仕組みの科学的な解明は最近になって急に進んでいるものの、まだ完全にわかってはいない興味深い問題といえるでしょう。4年目のこの研究では、オジギソウの反応を、麻酔薬、低酸素、低温といった条件により麻痺させることができるかどうか、またその麻痺が回復するかどうか実験して観察しました。それぞれの実験において、疑問に対してよりはっきりと答えが得られるように工夫して進めていることは高く評価されます。オジギソウの反応には、1)刺激を受け取り、2)その信号を運動部分である葉枕まで伝え、3)葉枕で膨圧運動を起こすという少なくとも3つの段階がありますが、麻酔効果はどの段階に働いているのか、より細かく調べることができればさらに発展すると思います。

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