〔研究の動機〕
2025年7月末、部活動の一環として、大阪市立科学館を訪れた。プラネタリウム特別上映において、都市照明が夜空に与える大きな影響を目の当たりにした。映像は自然の満天の星から始まり、天の川がくっきりと輝く美しい夜景を映し出していた。しかし、都市の夜景へと切り替わる瞬間、星の数は激減し、ついには天の川の姿が完全に消失した。この劇的な変化は、小学生の時に先生から教わった、都市の人工照明が夜空に与える「光害」の深刻さを如実に物語っていた。私の住む京都市内でも同様の現象が顕著に見られる。幹線道路沿いや主要観光地では、夜間にも昼間のように強烈な照明が点灯し続けており、これが周辺環境に与える影響は計り知れない。特に京都のような歴史都市においては、夜空の美しさそのものが重要な文化的資産であるにもかかわらず、過度な人工照明によってその価値が失われつつある。この問題意識から、私は自然界で最も効率的な発光システムの一つであるホタルの生物発光に着目した。ホタルは数百万年の進化の過程で、極めて高効率かつ環境調和的な発光システムを完成させており、この自然の叡智を現代の照明技術に応用することで、光害削減と省エネルギーの両立が可能になると考えた。
〔結論と感想〕
本研究では、都市光害という深刻な環境問題に対し、自然界で極限まで最適化されたホタルの発光器官の光学構造を模倣することで、高効率かつ低減に寄与する LED照明の設計を提案した。
ホタルの非対称ピラミッドナノ構造を再現し、発光波長を約558nmに最適化することで、従来のLEDに比べて光取り出し効率を大幅に向上させつつ、短波長光の削減により天空散乱光(skyglow)を劇的に抑制できることを理論的かつシミュレーションで示した。
特に京都市の光害指標(SBI)を用いた解析では、中心部での光害を約40%削減できる見込みであり、これにより生態系保護、歴史的景観の保存、住民の健康維持という複数の社会課題解決に貢献可能である。本提案は、生物模倣工学(バイオミメティクス)を活用し、既存の半導体製造技術との親和性も高く、実用化・大量生産の道を開く。今後は実証試験を経て、都市規模での段階的導入を進めることが急務である。この革新的なホタル型LEDは、持続可能な社会の光環境を創造し、未来の夜空を取り戻すための力強い一歩となるだろう。

