昨年度、庭の朽木に生えたオオムラサキホコリについて、神奈川県立生命の星・地球博物館の出川先生にいろいろ教えていただき、家で飼うことができる「モジホコリ」の変形体を分けていただきました。どんな食べ物が好きかを調べた時、餌に向かって真っ直ぐに進む様子が見られ、感覚器官も脳も無いのに、なぜ餌が分かるのか不思議に思いました。そこで、今年はモジホコリの変形体がどのような動きで餌を探すかを調べることにしました。
方法
① | モジホコリの変形体に、毎日、オートミールや水分を与え、プラスチック容器で飼った。 |
② | シャーレに寒天培地を作ってモジホコリの変形体を端に置き、反対側にオートミールを置いて、餌にたどり着くまでを5分おきにデジタルカメラでインターバル撮影した(140枚)。写真を順に並べて餌にたどり着くまでの動きの特ちょうを調べた。 |
顕微鏡や実体顕微鏡で変形菌を拡大し、接眼レンズにデジタルカメラを近づけて写真撮影した。原形質流動の動きが始まって止まり、逆方向に動き始めて止まるまでをストップウォッチで計った。また、視野の端から端までの動きにかかった時間を計り、原形質流動の速度を出した。 | |
野外で変形菌の観察・採集をし、種類による子実体の違いを調べた。 |
昨年度は、初めと結果だけを観察していたので一直線に餌に向かうように見えたことがわかった。まず、変形体は自分の体を葉脈のように伸ばして、広い面となって餌を探していく。餌に体が触れると、今まで放射状に伸びていた細い管が、まるで中心の太い管に吸収されるようになり、餌に集中する。これは単細胞の変形菌にとっては、とても効果的な方法だと考えられる。また、変形体はお互いの位置を感じて避けあう様子も見られた。原形質流動は管の中を原形質が1秒間に約0.1mmから0.8mmのスピードで進んでいた。ほぼ同じ時間間隔で逆流するところもあるが、先端部分では伸びる方向に長く流れ、全体として引き返しながらも進んでいく。
(1)餌を探しているとき | (2)餌に到達したとき | (3)餌に向かって集まっていくところ | (4)餌から離れていくところ |