私たちは鼻や口から取り入れた空気は肺の中で酸素を血液の中に取り込み 、酸素は血液の流れにのせて、全身におくりとどけられます。そして、いら なくなった二酸化炭素はふたたび血液の中にのせて、肺から外に排出します 。
昆虫も動物ですから、ちゃんと息をしています。しかし、顔を見ても、私たちのような鼻の孔はありません。じつはからだの横にあいている気門(きもん)という孔から空気を取り入れるのです。そして、空気は気管(きかん )というくだをとおして全身に運ばれます。いらなくなった二酸化炭素は気管の中を通して外に運ばれます。
気門の観察
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気門がわかりやすいのは、いもむし型の幼虫です。
体の横を見てください。黒い点のようなものがならんでいるでしょう。それが気門です。
全部でいくつありましたか。
多くは胸に1対または2対、腹に8対あります。
気門をさらにくわしく調べたい人はけんび鏡が必要です。
気管の中にごみがはいらないよう、毛が生えていたり、空気の流れを調節する弁がついているものもあります。
ぬけがらによる気門と
気管の観察
- 気門は外からも観察できますが、気管は体の内部を解剖しないと、くわしく観察できません。
ちょっとむつかしく、解ぼう学の知識も必要なので、ここではわりあい簡単なぬけがらの気管を観察することにしましょう。
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セミやトンボの幼虫のぬけがらの、背中のわれめに白い糸のようなものがついているのをみたことがあるでしょう。これが気管のぬけがらです。この根本をたどってみましょう。ぬけがらはこわれやすいので、湯にしばらくつけてやわらかくなったら、半分にわって白い糸の根本をたどってみてください。何本かの糸がたばになって胸や腹のかべにくっついているでしょう。そこが気門なのです。
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気管を顕微鏡で見てみましょう。こまかいらせん状の糸のようなもの(これをラセン糸(し)という)でできた筒になっていることがわかるでしょう。これはちょうど掃除機の筒のやわらかい部分がつぶれないように細い針金のバネでできているのと同じ原理で、筒の形が保たれているのです。セミのぬけがらの断面を図にしておきました。昆虫は脱皮するとき、皮ふでできている部分は全部脱ぎ捨てることがわかります。気管も皮ふと同じなのです。