ヤゴはトンボの幼虫だということは知っていますね。学校のプールを掃除したときに見つかったり、池の中にアミを入れてすくってみるとかかります。ヤゴが見つかったら空きビンなどに入れて、しばらく飼って観察してみましょう。
観察と実験
その1
図はクロスジギンヤンマのヤゴ(幼虫)です。
下くちびるといわれる部分が、おりたたまれていて先にははさみがついています。ふだんは口の下にしまっています。この形がちょうどマスクのようです。虫などが近寄ると、すばやく伸ばして、先のはさみでつかまえ、食べてしまいます。
糸の先に小さな虫をしばりつけ、ヤゴの口先にたらしてみましょう。
虫が動くと、下くちびるを一瞬のうちに伸ばして、つかまえるでしょう。このとき、ヤゴをつりあげることもできます。
ヤゴはえものが小さいとつかまえます。どのくらいの大きさのものまでつかまえようとするのでしょう。虫の代わりにいろいろな大きさのボタンを糸の先につけて、ヤゴの口先で生きている虫のように、動かしてみましょう。下くちびるを伸ばすでしょうか。
その2
水の中のヤゴを見ていると、腹を動かすたびに、おしりのほうの水が動くでしょう。
ヤゴはおしりのなかに水を取り込み、呼吸しているのです。ヤゴの直腸の中には小さなうちわのようなエラがたくさんあって、そこに水が通ると、エラの中の気管の中の二酸化炭素が水中に出て、酸素が入ってきます。直腸の動く様子は、ヤゴを電灯の光にすかしてみるとよくわかります。
空きビンの中で、おしりの先の水の動きを観察すればよいのですが、よくわからなかったら、墨汁(ぼくじゅう)を一滴たらしてみましょう。はき出された水が、うずをまいてひろがっていくのがよくわかります。
呼吸は腹の動きによって行われます。側面から見たり、後ろから見たりして腹の動きやおしりの弁の動きを観察してみましょう。
ヤゴは水をいきおいよく噴射(ふんしゃ)して泳ぐことができます。少し広い容器で泳ぎを観察してみましょう。 ヤンマ類やトンボ類のヤゴは直腸にエラをもっているおかげで、ジェット機のように水を噴射できますが、イトトンボ類やカワトンボ類のヤゴは直腸の中にエラはなく、かわりにおしりの先に3枚の葉状の細長いエラがあって、これで呼吸します。したがって、泳ぎ方も、体を左右にくねらせながら進みます。
その3
棒や石のかわりに、水底に黒い線を書いてみましょう。ヤゴは線に沿って止まるでしょう。
クロスジギンヤンマのヤゴはものかげにかくれる性質があります。容器の中に棒や石などを入れておくとそのかげにかくれるでしょう。
ヤゴを飼っているビンを電灯の上や下にもっていってみましょう。どんな姿勢をとるでしょうか。ヤゴは常に光の来る方向が上のように姿勢をとるでしょう。
容器の中でそっと水の流れをつくってみましょう。ヤゴはどんな姿勢をとるでしょうか。水の来る方向に頭を向けませんか。
ヤゴをつかむと、腹の先のとげではらいのけようとします。とげは敵から身を守るのに役立つでしょう。