一昨年の研究では、ため池31カ所のプランクトンの調査をし、89種類を観察できた(69種類を同定)。プランクトンの種類・密度と水生植物の種類・密度には密接な関係があることが分かった。昨年の研究では、水生植物ごとにプランクトンの調査を行い、沈水植物がプランクトンの多様性を高める効果が1番高いこと等が分かった。しかし、池ごとに環境が異なるため厳密な比較はできなかった。そこで、環境をそろえて、水生植物とプランクトンとの関係を調べることにした。
方法
1.庭に水槽13個を並べて水を満たした。素焼き鉢13個に培養土を充填し各水槽に沈めた。2008年5月から6月に印旛沼の周りの池で、水生植物を採集した(沈水植物:クロモ、オオトリゲモ、コウガイモ、ガシャモク、ササバモ、インバモ、ホザキノフサモ、センニンモ、ヒロハノエビモ 浮葉植物:ヒルムシロ、アサザ、ガガブタ)。水生植物を洗い、水槽ごとに1種類ずつ植えて育てた。1つの水槽には何も植えなかった。
2.印旛沼漁協の池と有機農法の田んぼから、プランクトンを採集し、生物顕微鏡で種類と数を確認後、よく混ぜて、100mlずつ実験水槽に接種した(100種類以上)。3日おきにプランクトンの出現数を調べた。3.実験水槽から水を採取してろ過し、プラスチック製小型容器に満たした。各容器にミジンコを10個体ずつ接種した。市販の緑藻クロレラを毎日スポイトで滴下した。ミジンコの個体数の変動を比較検討した。