光を当てたゾーンに泳ぎ着いたカイミジンコをピペットですくって元の場所に戻すという操作を繰り返すと、徐々に走光性が抑制された。その理由について以下の仮説を立てた。
仮説①光単独で走光性が抑制された
仮説②ピペット操作単独で走光性が抑制された
仮説③光とピペット操作の組み合わせで走光性が抑制された。
1. | 附属中学校のプール脇の側溝から採取したカイミジンコを自宅の水槽で飼育し、懐中電灯の光に集まってくる大型の個体を実験ごとに選んだ。 |
2. | 長さ20cm幅3cm 水深5mmの測定水槽を自作した。長さの両端から3cm内側に線を引き、出発ゾーン・到着ゾーンとした。 |
実験
薄暗い室内で到着ゾーン側から小型懐中電灯(LED)の光を当てカイミジンコが出発ゾーンから泳ぎ着くまでの時間をストップウオッチで計測し、1分以内の個体を走光性ありとした。
① | 到着したカイミジンコをピペットで戻した |
② | カイミジンコには触れず懐中電灯を反対側に移動した |
③ | 強いピペット操作と弱い操作の群に分けた |
④ | 照明下でのピペット操作と暗闇での操作の群に分けた |
⑤ | 1)と同様の実験後照明下で0.5~2.5時間休ませた群と暗闇で休ませた群に分けた。 |
③が肯定された。すなわち、本来走光性をもつカイミジンコは、光とピペット操作によって生じた激しい水流が結びつく学習(連合学習)が成立すると光を嫌うようになると結論される。