第58回入賞作品 小学校の部
1等賞

食生活を通しての
かたつむりとめだかへの挑戦状!

1等賞

大阪府池田市立五月丘小学校6年
八田 知也
  • 大阪府池田市立五月丘小学校6年
    八田 知也
  • 第58回入賞作品
    小学校の部
    1等賞

    1等賞

はじめに

 3、4年生の研究でカタツムリはカルシウムが大好きなことを発見した。昨年度はカタツムリとのコミュニケーションを取るための実験を行い、今年度もさらに彼らとの距離を縮める方法を見つけようと、挑戦状をたたきつけることにした。メダカにも実験に参加してもらった。

カタツムリの実験

 昨年度の実験ではカタツムリにいつも決まった絵を見せ、背中にノック刺激を与えることで、エサの時間を認識するようになるなど、カタツムリに記憶力や条件反射の能力があることが分かった。今年度は、カタツムリが文字を読めるのか、時計を認識できるのか確かめる。

〈1〉予備実験①(3月30日)

 透明な飼育ケース(43.5×34.5×19cm)内の3カ所にエサ場を設け、カタツムリ(6匹)から直接見えないよう に木板で囲う。それぞれの入り口のそば(ケース外側)に、文字札「メシ」(エサを置く場合)と「ハズレ」(エサなしの場合)を立てる。4個のアナログ時計(100円ショップで購入)を外側からケース4面に置く。夜8時にエサ場にエサを置き、朝8時にエサを取り除く。3カ所あるエサ場のうち、2カ所にエサを入れる。

〈結果〉

 カタツムリはどのエサ場にも寄り付かなかった。そばに近づけるとかなり嫌がった。木材に防腐剤や防虫剤などが塗られているのかもしれない。

予備実験②(3月31日~4月17日)

 エサ場の囲いを陶製容器に変更する。文字が判別しやすいように札「メシ」を 「めし」に替える。エサ場の容器の開口部を初めは、ケース中央のカタツムリからエサが見えるように置き、その後は2日に1回、容器の向きを30度ずつ閉じるように変えていき、4月13日からはエサが完全に見えなくする。

〈結果〉

 日中は学校があるので観察時間は限られるものの、夜のエサやりの観察では全く反応がなかった。

〈2〉正式な実験(4月18日~7月1日)

 初めは観察中にエサを食べるカタツムリがほとんどなく、夜間のエサの減り方も悪かった。4月26日に「めし」札に直行し、エサを食べるものが現れたが、5月上旬まではほとんど反応がない。昨年度の実験で絵に反応したことから、5月17日に文字札(白色)を黄色(めし)と水色(ハズレ)の色紙にした。5月中旬ごろから夜中に「めし」札を見てエサ場に向かうカタツムリを、両親が目にするようになった。エサを食べた跡も見られた。6月4日からは、時計実験を半ばあきらめ、文字を読ませることに専念。エサ時間にカタツムリを起こすため、ケース中央に水皿を置いて全員(匹)に水浴びさせることにした。さっそくその夜から、30~60分間の水浴びをして「めし」札に直行しエサを食べ出すものが複数でてきた。

〈まとめ〉

 6月前半から、明らかに「めし札を見てエサを食べに来ている」と確信できる個体が出てきた。「ハズレ」札のエサ場に行くのは、そこで寝るためだ。カタツムリは「めし」の文字札に真っ直ぐ向かうので、「文字を読めている」と考えられる。

〈3〉検証実験(7月2日~15日)

 カタツムリは文字札の「文字」と「色」のどちらでエサ場を判断しているのか確かめる。〈方法〉文字のない色札=水色(エサなし)・黄色(エサあり)=と白地に文字だけの文字札=「めし」「ハズレ」=を日替わりでエサ場近くに出す。〈結果〉色札の場合、カタツムリは動き出さなかったり、うろうろ探し迷ったりしていた。文字札(めし)の場合はすぐに動き出して真っ直ぐ向かうので、文字の理解ができていると考えられる。7月に入り、暑さでカタツムリの動きが鈍くなってきたので実験を終了することにした。

メダカの実験

 カタツムリと同じように、メダカが文字を認識できる かどうか調べる。

〈実験1〉文字札「めし」と「ハズレ」

〈方法〉

 メダカ18匹を入れた水槽(33×31×20cm)のエアポンプを止め、水槽側面を左右半々に分けたそれぞれに「めし」「ハズレ」の文字札(10×7cm)を、水槽内から見えるようにかざす。1分後に水中に仕切り(透明な下敷き)を下ろし、メダカが左右の行き来ができないようにしてから、「めし」側でエサを与える。かかげる「めし」と「ハズレ」の札を時おり左右で交換する。「めし」側に入ったメダカを数える。

〈結果〉

 1日3回、5月21日から6月20日まで試した。「めし」側に入った割合は、6月3日までは平均55.9%。その後高まり、6月4日~20日の平均は81.3%。特に6月4日以降は1回でも50%を下回ることはなかった。最終的には60%以上のメダカが「めし」の文字を理解した結果となった。

〈実験2〉メダカは矢印を認識するか

〈方法〉

 エサ側を示す「矢印札」(➡)を、水槽側面の左右の仕切り線にかざす。文字札(めし、ハズレ)の時と比べる。

〈結果〉

 6月21日~7月5日に試行。エサ側に入ったメダカの割合は、文字札(めし)では常に60%を下回ることはなかった。矢印札では18.8~75.0%。矢印は理解できない。

〈実験3〉

 文字札「ハズレ」を「なし」に替え、「めし」と「なし」に

〈結果〉

 7月6日~15日試行。後半はほぼ 80%以上が「めし」側に入った。メダカは「めし」と「なし」を区別できる。

〈実験4〉左右どちらも文字札を「めし」にする

〈結果〉

 7月16、17日試行。集団で左右に行ったり来たりして、最終的にはどちらかに落ち着いた。

〈実験5〉「めし」と「なし」を逆さまにした「めし」と「なし

〈結果〉

 7月18、19日試行。逆さ文字では区別がつかず、全体的にうろうろしていた。

〈実験6〉文字札「めし」「なし」をゴシック体に変える

〈結果〉

 前の実験から19日後の8月7日に4回試行。ほとんどが「めし」札に集まった。メダカはゴシック体も読めて、19日たっても文字を覚えている。

〈実験7〉文字札の文字を黒色から赤色に変える

〈結果〉

 8月8日に4回試行。ほとんどが「めし」側に集まった。赤色の文字でも読める。

〈実験8〉文字札の「めし」「なし」を縦長に伸びた書体に変える

〈結果〉

 8月9日に4回試行。「めし」側に行ったメダカは平均44.6%。文字を判別できない個体が多い。メダカにとっては読みにくいのかも。

〈実験9〉「めし」を「めしめし」、「なし」を「めしなし」に変える

 

〈結果〉

 8月10日4回試行。14匹中10~12匹が「めしめし」側に行った。文章に近いものでも理解する能力を持っているのかも。

〈実験10〉文字札「めし」「なし」と背景の色を反転させる

〈結果〉

 「めし」側に入ったのは14匹中10~14匹、平均85.7%。文字が白色でも読める。

〈実験11〉文字札「なし」を「ぬし」に変え、「めし」と「ぬし」に

〈結果〉

 8月14、15日8回試行。「めし」側に行ったメダカは14匹中10~14匹、平均90.2%。メダカは迷わずに「め」と「ぬ」の違いを判別し、理解している。

〈実験12〉並び方だけが違う「めし」と「しめ」にする

〈結果〉

 8月16日4回試行。14匹中10~14匹が「めし」側に。同じ文字でも、並び方が違えば全く違うものだと、認識するようだ。

〈実験13〉左右が反転した変形文字「めし」と「

〈結果〉

 8月19日4回試行。「めし」側に入ったのは14匹中 10~14匹。メダカは文字の違いを理解している。

〈実験14〉文字札「めし」「なし」を黒色と黄色のしましま模様の文字にする

〈結果〉

 8月21日4回試行。14匹中9~14匹が「めし」側に行った。文字が「しましま」でも、メダカは迷うことなく認識できるようだ。

感想

 カタツムリの実験では、欲張って時計実験も一緒にやってしまったので、カタツムリの反応が出なくて苦労した。カタツムリが文字まで読めるようになり、学習能力が高いことがさらに証明できた。メダカはカタツムリと違って動きが速く、すぐに結果が出た。「めしめし」「めしなし」や「めし」「ぬし」などのように意地悪な、紛らわしい問題でも、惑わされることなくエサ側に向かった。メダカたちの賢さに驚き、それを発見できたこともうれしい。

指導について

指導について八田 清子

 カタツムリの研究実験も4年目に突入。我が家は今年もワイワイガヤガヤ家族で話し合うことから始まりました。研究のきっかけは2年生の時に担任の先生から、カタツムリの赤ちゃんをもらったことでした。今回はカタツムリに文字と時計を理解させる実験を行いました。さすがに時計は理解不能でしたが、メダカ実験も含め面白い結果が出ました。実験中は楽しく順調に進むばかりではなく、カタツムリが全く無反応な日々が続いたり、初めてのメダカの扱いに戸惑ったり、このまま失敗に終わってしまうのか......と、がっかりすることも多々ありました。けれどもその度に考え、新たな方法を試していく姿がありました。幼少時より「何事もやり遂げる」よう、彼をサポートしてきました。実験も途中であきらめることなく継続してやり遂げた結果が、2年連続シゼコン入賞につながったと思っています。この経験は彼のこれからの人生にプラスになると信じています。

審査評

審査評[審査員] 邑田 仁

 研究の面白さのひとつに、最初に考えた研究をやりながら、さらに面白い研究に発展させられるということがあります。小学2年生から始めたカタツムリの研究は、どんなものが好物かという実験から始まりましたが、2年後には、どのくらい条件反射能力があるかという研究に変わりました。そして次第に実験らしい条件設定になってきました。このことは、本人が成長して複雑な解析ができるようになったばかりでなく、生き物と親しくつき合うことによって生き物を深く知り、実験方法を相手に合わせることができたということが大きいと思います。本人もとても面白かったに違いありません。カタツムリの研究をひととおりやってから、偶然脇道にそれたメダカの研究が、さらに面白い実験になりました。設定した条件にメダカがどこまで答えられるか、文字通り小学生らしい挑戦ができたと思います。このことによって、メダカの能力を十分引き出すことができました。今後もいろいろな挑戦を続けてください。

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