去年の6月、湯の丸キャンプ場で切りかぶの年輪が浅間山(東)に広がっているのを見つけ、僕はぎ問に思った。前に読んだ本には『日当たりの良い南の方がよく育つから年輪の広くなっている方が南』と書いてあった。4年のときの調査で、ぼくとしてはこれがまったくあてにならないと分かったけれど、今年はもっとデータをふやして大勢の人に「なるほど」と思ってもらいたかった。また、何が年輪のかたよりにえいきょうしているのかをもっと正確に調べてみたいと思った。
観察
切りかぶの形が円に近く年輪もはっきり出ているので、カラマツを中心に調べた。1)年輪の中心にコンパスの針を当てて広がりの方向を調べた。とうめいな板に中心の同じ円をたくさん書いて切りかぶに当てて木の幹の中心をわり出し、年輪の中心とのズレを測った。2)観察日・木の種類・地形・周囲の木のようす・年輪の数・太さ・幹の中心と年輪の中心の間のきょり・年輪の広くなっている方角・気付いたことを記録した。3)場所と調査数 大沢財産区:ヒノキ2本・カラマツ8本、佐久穂町八千穂高原:ナラ9本・カシワ1本、湯原:カラマツ20本
結果・考察
(1)40本のうち南に年輪が広がっていたのは1本だった。カラマツは北から東にかけて広がるけい向が強かった。(2)年輪のはばの広がり方に強いえいきょうをあたえる原因と考えられるのは、土地のけい斜、平均的な風向き、近くに木があるかないかなどがあげられる。(3)木は外からの力(地面のけいしゃや風など)に逆らって自分を垂直に保とうとして年輪の幅を広げて太らせるのではないか。針葉樹では地面のけい斜に対して下側が広く、平均的な風向きに対して風下側が広いけい向がはっきり見られた。広葉樹では、幹を垂直に保つために年輪をかたよらせる方法が全く逆であることが分かった。