第63回入賞作品 中学校の部
継続研究奨励賞

メダカの研究 パート6 ~遺伝子の組み合わせによる体色変化の違いと常染色体潜性(劣性)遺伝が及ぼす成長への影響~

継続研究奨励賞

千葉県佐倉市立井野中学校 3年
千葉県佐倉市立井野中学校 3年
成田 百花
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研究のきっかけ

中学1年生のメダカの研究では、次のことを調べた。

純系クロメダカオスと純系ヒメダカメスの子供オスに別の純系ヒメダカメスをかけ合わせると、うまれた子供はどうなるのか。
純系ヒメダカオスと純系クロメダカメスの子供メスに別の純系クロメダカオスをかけ合わせると、うまれた子供はどうなるのか。
純系ヒメダカオスと純系クロメダカメスの子供メスに別の純系ヒメダカオスをかけ合わせると、うまれた子供はどうなるのか。

 ❶については法則を発見することができたが、❷と❸はうまれたメダカが少なかったため、法則を発見して断定することができなかった。今回の研究では、❸を詳しく調査することにした。また、卵から孵化までの過程や、孵化後に体の成長が止まっているメダカについても、調べることにした。

今回の調査方法

 ❸の調査でうまれてきた子供のうち、クロメダカとヒメダカ両方の遺伝子を持ったオスとメスをかけ合わせ、うまれたメダカのオスとメスを判別する。この時、クロメダカの遺伝子か、ヒメダカの遺伝子か、両方を持つ遺伝子か、個体ごとに持っている遺伝子を前回より詳しく調べる。かけ合わせでうまれたメダカを区別するため、1匹ずつ専用の容器で育て、屋内で観察した。1日2回スポイトでフンなどを吸い取り、不足した水はカルキ抜きをした水を足す。エサを与え、容器が汚れたら水を入れ替える。メダカが成長してきたら、容器を大きいものに替えるようにした。

調査の予想と結果

予想

 クロメダカのクロ(黒)の遺伝要因をR(顕性=優性遺伝子)、ヒメダカのヒ(緋)の遺伝要因をr(潜性=劣性遺伝子)とし、純系クロメダカがRR、純系ヒメダカがrrの遺伝要因を持つとする。純系クロメダカと純系ヒメダカの両親からうまれる子供の遺伝要因はすべてRrとなり、雑種のクロメダカになる。雑種のクロメダカRrと純系ヒメダカrrをかけ合わせると、メンデルの法則のひとつ分離の法則により、雑種のクロメダカRrと純系ヒメダカrrが1:1の同じ割合でうまれると考えられる。しかし前回の研究では、クロメダカとヒメダカ両方の遺伝子を持つRrのメダカも生まれた。
 今回の研究は、この両方の遺伝子を持ったRrのオスとメスをかけ合わせる。分離の法則により、雑種のクロメダカRR:雑種両方の遺伝子を持つメダカRr:雑種のヒメダカrr=1:2:1がうまれる。クロとヒ両方の遺伝子を持つメダカの子供だから、純系はうまれないと予想した。

結果

 今回、調査の対象にしたのは、2021年3月13日から9月8日までにうまれたメダカだ。観察対象としたメダカは162匹いたが、最終的に判定したメダカの数は45匹で、区分や性別ごとの個体数は下記のとおりだ。

結果からの考察

 うまれたメダカは性別に関係なく、クロメダカとヒメダカ両方の遺伝子を持っていることがわかった。オスもメスも雑種両方の遺伝子中間の個体が多く、オスはヒメダカの遺伝子、メスはクロメダカの遺伝子が強い個体がうまれやすいことがわかった。上の表の黒い部分のメダカをクロメダカ寄り、赤い部分のメダカをヒメダカ寄りと分類すると、中間も含めた出現率はクロメダカ寄り:中間:ヒメダカ寄り=3:4:3となった。
 雑種両方の遺伝子中間のメダカが最も多くうまれるが、顕性(優性)遺伝子に偏ったメダカ、潜性(劣性)遺伝子に偏ったメダカもほぼ同じ割合でうまれることがわかった。オスは潜性(劣性)遺伝子、メスは顕性(優性)遺伝子が強く現れやすい傾向にあることも判明した。

今回のかけ合わせ調査の結果

研究の考察

 ここまでのかけ合わせの調査中に、卵から孵化までの過程や、孵化してからの成長過程で成長が止まってしまうメダカがいた。どちらも性別が判明する前に死んでしまう。この成長が止まるメダカについて、どのくらいの割合で出現しているのか、調べてみることにした。
 成長が止まったという判定は「目が他のメダカに比べ小さい」「血液がしっぽの先や卵の中で固まっている」「血流が悪く血液の流れる部分が細い」「体の端や口の先など体の一部の色が濃い」「体の端に膨らんだ膜がある」「黒い模様の形がはっきりしない」「卵の中で体を異常に激しく動かしている」ことを基準とした。
 2021年に観察したメダカを「🅐性別が判明するまで生きたメダカ」「🅑性別が判明する前に死んだ成長が止まっていないメダカ」「🅒性別が判明する前に死んだ成長が止まったメダカ」に分類した。
 2022年にうまれたメダカ(両親の系統は2021年と全く同じ)も「🅐孵化するまで生きたメダカ」「🅑孵化する前に死んだ成長が止まっていないメダカ」「🅒孵化する前に死んだ成長が止まったメダカ」に分類した。
 さらに、2021年と2022年ともに🅑と🅒の死んだメダカを、それぞれ「孵化前に死んだメダカ」「孵化後に死んだメダカ」のふたつに分けて考えた。
 その結果、2021年の各メダカの出現率は🅐27.8%、🅑の孵化前死亡が24.1%、🅑の孵化後死亡が28.4%、🅒の孵化前死亡が17.3%、🅒の孵化後死亡が2.5%だった。
 2021年のメダカは🅐64.0%、🅑の孵化前死亡が9.9%、🅑の孵化後死亡が0.0%、🅒の孵化前死亡が25.2%、🅒の孵化後死亡が0.9%だった。
 両年合計の割合では🅐42.5%、🅑35.2%、🅒22.3%だ。成長が止まったメダカだけで見ると、孵化前に死ぬ個体が91.8%で多くが孵化前に死に、性別が判明する前に必ず死んでいた。
 『全訂増補版メダカ学全書』に挙げられたメダカの突然変異種の例に、「胚・稚魚で色素細胞の発達が悪い、致死である」と、今回のメダカと似た特徴を見つけた。「この遺伝子は常染色体に位置し、遺伝の形式は劣性」と書かれていた。前回のかけ合わせ研究では成長が止まるメダカはうまれなかったが、今回は両親の遺伝子に異常があったため、常染色体潜性(劣性)遺伝の影響で、成長が遅れるメダカがうまれたのだと思う。次回以降、遺伝子異常の原因を追究し、治療法などを発見したい。

指導について

成田 理恵

 一昨年、「純系ヒメダカオスと純系クロメダカメスの子供メスに別の純系ヒメダカオスをかけ合わせ、うまれた子供はどうなるのか」を調べた際、うまれたメダカの数が少なく、法則を断定させることができませんでした。本研究では、メダカの数を増やし、検証しようと思ったことがきっかけでした。産卵に至るまでのメダカの様子からうまれた卵の様子、孵化後の様子を長期間、毎日観察し記録を取り続けるうちに、体の成長が止まっているメダカに気づき、その原因を追究するため、過去にも同じような事象が起きたのか調査し、新たな発見をすることができました。
 「継続は力なり」の言葉にもあるように、毎日メダカと真剣に向き合っていなければ、これらの法則の断定や発見をすることができなかったのではないかと思います。また、本コンクールの入賞も本人の自信につながり、研究の励みになっております。素晴らしい賞をいただき、感謝しております。

審査評

[審査員] 田中 史人

 本研究は小学校4年生の時から6年間継続して行ってきた研究です。メダカについての様々な疑問を調査や観察を通して解決してきました。今年度は純系ヒメダカのオスと純系クロメダカのメスの子供のメスに対して、別の純系ヒメダカのオスをかけ合わせ、生まれた子供同士をさらにかけ合わせました。その結果がどのようになるのかをオスとメスそれぞれ7つに区分して調べています。
 生まれたメダカを他のメダカと区別したり、受精したりしないようにするために、1匹ずつ分けた容器で育てるなど工夫をしています。水槽の下側に方眼紙などのスケールを置くことで、メダカの大きさを確認する際に役立つでしょう。毎日2回の容器内の糞の清掃やエサやり、水の入れ替えなどメダカが良い環境で生活できるよう常に考え観察を進めています。継続して行った研究により、得られたデータ量も多く、結果もわかりやすくまとめてありその努力は高く評価されました。観察を続けていく中で、成長が途中で止まるメダカの共通点も見つけ、考察でその原因についても述べています。
 今後は、遺伝子の異常があるメダカの原因解明と成長との関係の研究を進め、さらに発展させていくことを期待します。

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