研究の動機
第62回全国自然科学観察コンクールで秋山仁特別賞を受賞した作品の継続研究である。
研究をしているストロー飛行機とはストローの前後にリング状の羽を持った機体で、前羽円周150mm幅20mm厚さ0.2mm、後羽円周250mm幅20mm厚さ0.2mmの画用紙やプラスチックの羽を3本のストロー長さ220mm外径7mm内径6mmを等間隔に配置し前後を接続した機体だ。
6年間夏休みの自由研究として取り組んだが謎は深まるばかりで中学校に進学しより深く研究してみたいと思い7年目の研究に取り組んだ。
昨年は揚力と推進力について研究した。発射直後下降した点を疑問に思い今年はその点に着目し研究を進めた。
結論と感想
昨年度見られた発射後の下降をなくすために①初速に負けない羽根の素材②発射時の角度の2点に着目して研究を行った。初速負けない羽根の素材はホームセンターなどで容易に入手出来、羽根に加工しやすい物を中心に選別した。PP(厚さ違いで3種類)、PET、硬質塩化ビニールを用い実験を行った。また、発射角度の実験ではストロー飛行機の羽根の大きさの円とストローの位置を内接する三角形の図と多角形の内角の和の計算を基にしてベストな発射角度を計算により求めた。飛行角度=発射角度=6.2度が計算で求めた角度である。
飛行中の羽根の変形をより小さくする目的で羽の素材を変えて実験したが、変形が小さい硬質塩化ビニール、PP0.75mm、PET0.5mmは発射直後に大きく上昇し飛距離が伸びなかった。抵抗より多少変形する画用紙とPP0.5mmが一番飛ぶ結果となった。空気抵抗による変形の大きいPP0.2mmはあまり飛ばない結果となった。
「発射直後の下降を小さくする」というポイントについては羽根の変形を小さくすることで下降がなくなり成功したが、飛距離が延びるであろうと予想した点については予想に反して飛距離が延びず逆の結果となった。羽の変形を小さくすることで揚力が働きすぎて推進力に変えられない結果となった。画用紙とPP0.5mmが同じくらい飛んだが現段階では羽根の重さ・厚さともに異なるため共通点はなにか疑問が残る結果となった。しかし、湿度に強く長期保存が可能なPP0.5mmという素材を発見できたことは今回の実験の大きな収穫である。
角度の実験では実験前に計算で求めた6.2度が飛ぶと予想したが結果は0度~30度まで大きく飛距離が変わらない結果となった。45度、60度は推進方向よりも上方向への力が大きく働き飛距離が延びなかった。最終的な結果としては15度が一番よく飛んだので今後の実験の発射角度として活用できると考える。
来年は今までは発射時の力をなるべく揚力に変えて飛距離を出そうという実験を行って来たが今回の実験1の軌道を受け画用紙は揚力よりも推進力に使っているように思える。来年はその点に着目してより安定して水平に飛距離を延ばせる製作実験を行いたい。