研究の動機
森林総合研究所でカブトムシとクワガタムシの死がいを見つけたが、どれも体がなく、頭だけだったことから、死がいの角やあごの大きさ、残された食痕などから、食べた動物や食べられやすさと体の大きさの関係などを調査することにした。
森林総合研究所の樹木園とクヌギ林で採集を行った。落ちていたカブトムシの死がいの角の大きさや、ノコギリクワガタの死がいのあごの大きさを計測した。
結論と感想
計測結果から、カブトムシもノコギリクワガタも大きいほうが食べられやすく、メスよりもオスの方が食べられやすいのではないかということがわかった。
樹木園ではノコギリクワガタの死がいばかりが落ちていて、死がいが落ち葉の上ではなく、アスファルトの上に多く落ちていた。
これまでに集めた死がいにあった食痕とアスファルトに死がいが多かったことから、カラスが食べやすい所にノコギリクワガタを落として食べているのではないかと考えた。
クヌギ林ではノコギリクワガタよりもカブトムシの死がいが多く落ちていて、1本のクヌギの木の下に集中して死がいが落ちていた。
これまでに集めた死がいにあった食痕と、1本のクヌギの木の下に集中して死がいが落ちていることから、タヌキが樹液の出ている木を狙って食べに来ているのではないかと考えた。
ミュージアムパークからタヌキ、アライグマ、ハクビシンの頭骨を借り、観察や歯型を取り、カブトムシとクワガタムシを食べている動物はどれかを考察することにした。
3つの頭骨を比べると、タヌキは臼歯がギザギザしていて、雑食だが肉食動物に近いような歯の形をしていた。
アライグマとハクビシンは臼歯が平らになっていて、雑食だが草食よりの臼歯をしていた。
タヌキの歯の形状から、アライグマとハクビシンの歯の形状より、タヌキの方がカブトムシなどの昆虫を好んで食べるのではないかと考えた。