第65回入賞作品 中学校の部
佳作

おじぎ草6 「おじぎ草、極地体験」-30℃の世界へ

佳作

岐阜県岐阜大学教育学部附属小中学校 8年
岩田 康誠
  • 岐阜県岐阜大学教育学部附属小中学校 8年
    岩田 康誠
  • 第65回入賞作品
    中学校の部
    佳作

    佳作

〔研究の動機〕

 さわるとパタパタと葉を閉じる様子が面白く、小学2年生の時からおじぎ草の研究を始めた。今回が第6弾の研究になる。さまざまな刺激におじぎ草がどう反応するのか、研究第2弾までにたくさんの実験をした。その結果、おじぎ草は刺激を受けると反応するけれど、自然界で当たり前の雨や風、虫による刺激にはあまり反応しないことが分かった。特に興味深かったのは、雨への反応だ。水への反応を確かめる実験の最中に雨が降ってきた。すると水の刺激では葉が閉じていたのに、水の刺激がなくなり雨粒が当たるだけになると葉は開いた。そこで研究第3弾は、雨がおじぎ草にとって刺激ではないのかを調べてみた。その結果、おじぎ草にとって雨は閉じるための刺激ではないことが分かった。刺激について考えるうち、もしおじぎ草に刺激された感覚がなかったら、と思うようになった。研究第4弾ではおじぎ草の感覚を麻痺させる実験を行うことにした。おじぎ草の反応を麻酔薬、低酸素、低温といった条件により麻痺させることができるのか、またその麻痺が回復するかどうか実験して観察した。その結果、1位が麻酔、2位が酸欠状態、3位は冷たさだった。ただ実験直後の反応の顕著さで順位をつけると酸欠状態、冷たさ、麻酔だった。最も興味深かったのは酸欠状態だった。そこで研究第5弾ではそれを確認するために標高2,300mある高山に行くことにした。しかし当日台風で中止になり、近隣の標高1,350~1,600mの4か所で実験をした。その結果、おじぎ草の刺激への反応はなかった。しかし当日は気温が17~21℃ととても寒かったため、刺激に反応しなかったのは、気温が低いからなのか標高が高いからなのか分からなかった。そこで今回研究第6弾(前半)として、気温低下時の刺激への反応を調べるために秋から冬にかけて観察をすることにした。その結果、11月下旬から刺激への反応がにぶくなり、12月に入ると刺激への反応がなくなった。しかしこれは寒さだけが原因か疑問に思った。12月中旬にはおじぎ草は枯れかかっていたからだ。よって、研究後半として次の年の夏、おじぎ草が元気な時に寒い環境で刺激への反応を見てみたいと思い、名古屋市科学館さまご協力のもと、「極寒ラボ(-30℃)」で実験をさせてもらうことにした。

〔結論と感想〕

 名古屋市科学館の理工館にある「極寒ラボ」は日本初の-30℃を体験できる施設である。本来貸し出しはされていないが、そこで実験をさせてもらえないか館長にお願いの手紙を出し、快諾いただいた。実験はおじぎ草が一番よく開いている朝9時から実施し、①常温25℃、②-30℃、③-10℃の3ヶ所で、葉の様子、刺激への反応をみることにした。予想では、刺激にはもちろん反応しないが、何もしなくても入った瞬間に寒さが刺激となり葉が閉じると思った。もしくは急激に冷やされることで、葉が閉じる暇なく開いたまま反応しなくなるとも考えた。極端な環境に置くことで想像を超える何かがあるかもしれないと思うとわくわくした。結果、①常温25℃では少し葉が閉じかかった。外の気温が34℃だったのに対し、10℃ほど気温が低かったことが影響した可能性はある。②-30℃(部屋の実際の温度は-34℃)では、部屋に入ってすぐに葉が閉じ始め、全て閉じた。2分後、閉じた葉が曲がりだし、その後驚いたことに下の方の葉が開きかかった。20分後には葉は凍り、触るとパリパリと落ちた。③-10℃では、部屋に入ってすぐに葉が閉じ始め、全て閉じた。そして下の方から葉が開き始めた。葉の開き方にはいくつかの種類があり、外向きにカールしたり、とげとげしい開き方になったり、一枚一枚の小葉が反り返っているものもあった。葉は柔らかかったが、刺激への反応はなかった。結果をうけ、改めておじぎ草の葉が動くしくみを調べなおし、自分なりに考えた。急に葉を閉じた原因はやはり冷気が刺激になったのではないか。その後の葉の動きは、葉の中の水分が凍る時に膨張して葉を少し動かしたのではないか。また−10℃で変な開き方になったのは、葉の水分が少しずつ凍り出したことで時間差で変な開き方になったのではないか。6年におよぶおじぎ草の研究は一旦今年で終了にした。今回は寒さに特化した研究をしたが、極端な環境下におくことで気が付くこともあり、それが大きな発見につながるような気がした。今回の研究で改めておじぎ草が寒い場所に持っていくことでも葉を動かす動きを一時的に止めることができることが分かった。可能であればいつかおじぎ草の刺激への反応がなくなる気温をさらに詳しく調べることができたらと思う。

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