私は体操を習っていて、鉄ぼうが大好きです。手や鉄ぼうに「たんま」(炭酸マグネシウム)という白い粉をぬると、すべらなくなります。学校や公園で鉄ぼうをするときは、「たんま」がないので土をぬります。さらさらした土なので「さらこな」と呼んでいますが、石も入っていてザラザラしているので、やりにくいです。「たんま」にかわる粉をさがすことにしました。
(1)いろいろな粉でためそう
粉を手につけ、鉄ぼうにぶら下がってスイング(足を前後にふって体をゆらす)をした。 結果を◎、○、△、×で出した。
【「たんま」=◎】手によくひっつく。広がりやすい。うすくつく
【公園の土「さらこな」=△ 】少しすべる。さらさらしている
【公園のぬれ土=△】すべる。しっとりしている
【砂ばくの砂=△】少しすべる。つぶはない
【さとう=×】やりにくくて、すべる。あぶらっぽい。こまかくて、すごくすべりやすい
【しお=×】すごくすべる。ザラザラ、ブツブツする
【こむぎ粉こ=△】少しすべる。見た目は「たんま」ににているけど、すべる
【かたくり粉=◎】すべらない。粉が手につきにくいけど、やりやすい
【ロジン(野球のすべりどめ)=◎】「たんま」と同じくらいすべらない。「たんま」より、もっとうすくつく
【ボウリングのすべり粉=○】すべるような、すべらないような感じだけど、できる
【何もつけない=×】すべる。手のまめがいたい。
《考えたこと》
すべりにくい粉の方がやりやすかった。こまかい粉はすべりにくい。ザラザラした粉はやりにくい。「たんま」はよくのびて、とれにくいからいい。手にうすくつくとやりやすいし、すべりにくい、水でベタベタする粉はだめだ。
(2)これからどうやって実験するか
すべりにくさの結果が◎○△×では分かりにくく、ちがいがはっきりしない。結果が数字で出る方法を考える。
① |
かわのような布を手の形に切りぬき、鉄ぼうにぶら下げた。 |
② | 布がヒラヒラしないよう、鉄ぼうの下から引っぱった。 |
③ | 手では強さが変わるので、布の両側を目玉クリップではさみ、おもりをつけた。 |
④ | 布の両側に100gのおもりをつける。片方に100gのおもりを1個ずつつなげ、布がすべってずれたら、おもりの数を数える。100gのおもりが5個になったら500gのおもりにかえる。この方法なら実験に使えそうだ。手の形の布ではクリップではさみにくい。 |
⑤ | 布は6㎝はばの四角形にした。「たんま」とさとうを布につけ、何もつけないときとで比べた。「たんま」は500g2個・100g1個で落ちてしまい、それ以上できなかった。 |
⑥ | 布のはしに、つまようじが入る袋(ふくろ)を作り、クリップが外れないようにした。これであらためて⑤の実験をした。結果は「たんま」が500g2個・100g3個=1300g、さとうが100g3個=300g、何もつけないときが500g1個・100g4個=900gだった。これで結果が数字で出る。 |
(3)いろいろな粉で実験しよう
実験の仕方が決まったので、(1)でためした粉について、すべりにくさを調べた。結果は「たんま」=1600g、公園の土「さらこな」=300g、公園のぬれ土=300g、砂ばくの砂=300g、さとう=200g、しお=300g、こむぎ粉=300g、かたくり粉=600g、ロジン=800g、ボウリングのすべり粉=300g、何もつけない=900g。
《考えたこと》
「たんま」はほかの粉より、ふしぎなくらい多くのおもりがぶら下がった。ほかの粉は、何もつけないときより、すべってしまった。
(4)ベビーパウダーはどうかな
妹の首にあせもができたので、ベビーパウダーをぬったら、よくのびたし、「たんま」と同じような感じだったので調べてみた。その結果、400gのおもりがぶら下がった。
(1)「たんま」は、どれくらいこまかいか
これまでの実験で、こまかい粉がすべりにくいと思う。いろんな粉を布にうすくのばして、双眼実体顕微鏡(40倍)で観察する。
《結果》
【「たんま」】顕微鏡で見ても粉だ。つぶつぶが小さくて見えなかった。布のへこみにはさまっていた。
【公園のさら土】ふるいで一番こまかくふるったが、大きい石と小さい石が混じっている。
【砂ばくの砂】茶色の宝石みたいな丸い石が、たくさん見えた。
【さとう】ダイヤモンドみたいな透明の、きれいなつぶつぶだった。
【しお】真四角で大きいつぶつぶだった。観察した中で、しおだけ四角でふしぎだ。
【こむぎ粉】こまかいつぶつぶが、たくさんあった。
【かたくり粉】透明の丸いつぶつぶがいっぱいあって、タピオカみたいだった。
【ロジン】こまかい粉が、かたまっている。
【ボウリングのすべり粉】こまかい白いつぶつぶだった。
【ベビーパウダー】ときどき大きいつぶが入っている。
《考えたこと》
「たんま」は、ほかの粉よりすごくこまかった。顕微鏡で見たら、自分の目でこまかいと思った粉がザラザラで、びっくりした。
(2)「たんま」は、よく水をすいこむか
手があせでしめっていても、「たんま」をつけるとすべらなくなる。体操のときに「ねりたん」といって、「たんま」を水でねって使うこともある。「たんま」やほかのこまかい粉に、スポイトで水をたらしてみた。「たんま」は水をよくすいこんで、水は広がった。粉の中には、すいこまないのもあった。
(1)こまかい土の方がすべりにくいか:公園の土をふるいで、いろいろな大きさの粉に分けて実験する。
《結果》
ふるい | つぶの大きさ | おもりの重さ |
---|---|---|
1番上 |
4㎜以上 |
× |
2番目 |
2~4㎜ |
300g |
3番目 |
1~2㎜ |
300g |
4番目 |
0.5~1㎜ |
200g |
5番目 |
0.25~0.5㎜ |
200g |
一番下 | 0.25㎜以下 | 400g |
「一番下」のこまかい粉が一番よかった。一番上はつぶが大きく布にひっつかなかった。 2番目、3番目は土があまりつかず、布で引っかかったのだと思う。
(2)もっとこまかい粉でためしてみる:公園と学校のさら土を、目のこまかい布をふるいにはさんでふるった。ふるった土を顕微鏡で見たら、「たんま」よりこまかくない。布にぬって調べたら、おもりは6個目(600g)で落ちた。
《考えたこと》
ふるった土の中で、すべりにくさは最高記録だった。でも、何もつけていないときよりも負けている。
(3)「タクちゃん」(あせものくすり「タクト」)はどうか:すべりにくさの実験では、おもり10個目(1000g)で落ちたのですごい。顕微鏡でも、つぶがこまかくて見えない。
(4)か取りせんこうの灰はどうか:おもりは500gで落ちた。手につけたらザラザラして、思ったよりよくないので残念。
鉄ぼうで使いやすいのは、すべりにくい(つぶがこまかい、水をよくすいこむ)粉だ。調べた中での優勝はやっぱり「たんま」。「たんま」以外の粉では「タクト」。タクトはあせもの薬で、家にあるのでいつでも使えるがねだんが高い。これらを買ったり、もらったりしなくても公園の土をふるえば、鉄ぼうに使えるよ。
審査評[審査員] 小澤 紀美子
体操が大好きで鉄棒をやっている大矢ちはるさんは、手がすべらないように「たんま」という粉を手や鉄棒にぬって行うことから、他にすべらない粉は無いのか、身近なところから追研をはじめた努力を高く評価します。
日常の小さな疑問を出発点として、身近な素材ですべらない粉を見いだしていく過程、鉄棒を行うときと同じような手の形を布で作ったり、手の握りや重みを考慮して実験を組み立てていく過程を通して研究のやり方を学んでいますね。また、おもりや顕微鏡の扱い方にも挑戦して実験し、粉や砂などの違いを発見。興味をふくらませていく過程が素直に表現されていて好感が持てた研究でした。今後も、身近な素材の疑問から出発して、研究を発展させていってください。期待しています。
指導について大垣市立宇留生小学校 加藤 みき
器械体操の練習では、鉄棒の練習時に「たんま(炭酸マグネシウム)」を手につけて滑り止めにするが、近所の公園で鉄棒をするときは滑り止めがなく、土を手につけて代わりにしていることから、身近なもので「たんま」の代わりを見つけて、近所の公園でも鉄棒の練習がしたいということが研究の動機です。
はじめに、滑り止め効果を実験による数値で表す方法を探し、身のまわりの粉末の滑り止め効果について客観的なデータで検証できました。粉末を顕微鏡で観察して滑りにくい原因を探ったり、公園の土を粒度別に分けて実験したりして、どのような粉末が滑り止めに最適かを調べました。同じ方法を楽しみながら何度も試したことや、身のまわりのさまざまな粉末を探してきたことに感心します。
研究のまとめでは、あせも薬やふるいにかけた土で実際に鉄棒をして、研究の成果を確かめました。