小学校3年からダンゴムシの個性や交替制転向反応、家族の絆についてなど研究を続けてきた。毎年、研究のためダンゴムシの採取に行くが、いつも集団で集まっていることが多く不思議に思っていた。そのことについてダンゴムシの研究で交流のある信州大学の森山先生にお聞きしたところダンゴムシの排出物に集合フェロモンが含まれていて、それによって集合しているという説があることを教えていただいた。そこでダンゴムシの集合性と集合フェロモンの関係についてもっと詳しく知りたいと思いこのテーマで研究することにした。
予想では集合フェロモンには強力な誘引性があり、どんな条件のもとでも集合行動をみせると思っていた。しかし、実験の結果、排出物への集合性が顕著だったのは6つの条件のうち、同じ地域のせまい範囲、同性の排出物だけであった。ただし、排出物のある場所以外への集合性は度々見られた。このことから、ダンゴムシの集合行動は、集合フェロモンによるものだけではないこと、帰巣や異性を引きよせる役目はないこと、生息地によって成分が違うのではないかということがわかった。この研究をして、限られた条件のみの集合に誘引性がある集合フェロモンがダンゴムシにとってどんな利点があるのか新たな疑問が生まれたので、これからも研究を続けていきたい。