長ネギを切って、冷蔵庫内に入れて放置すると切断部から伸長しているという様子を見ることがある。私たちは、この現象について疑問をもった。冷蔵庫内は、低温で、かつ光がないという成長にあまり良くない環境である。なのに、なぜ短時間のうちに伸長をするのかということである。インターネットで調べてみると、いろいろな説が書かれており、メカニズムが明らかになっていなかった。そこで私たちは、長ネギを切ることが、成長を促すという現象が本当にあるのか、もしあるのなら、そのメカニズムを明らかにしたいと考えた。
長ネギには「傷害伸長」という現象がある。切断面からの伸長は、切断部位からどれくらい離れているかという距離や、葉が外から何枚目かという位置、大気組成といった条件によって影響を受ける。このことから、この切断面の伸長が、植物自体の体内でおこる化学反応による現象であると考えられる。伸長するしくみとしては、細胞分裂により細胞の数が増えて伸びるのではなく、細胞1個1個が大きくなって全体として伸びる。長ネギを切ることによりエチレンが発生することも確認できたので、今後は植物ホルモンについてのアプローチを試みたい。