研究の動機
小学校5年生の時に水中の生物に興味を持ち始めた。その後ミジンコ類の研究をするうちに大型鰓脚類(おおがたさいきゃくるい)を目にして、関心を持った。去年は、大型鰓脚類を対象とした分布調査も行った。今年は、彼らの生態を調べたいと思った。その際、自然界で大きな影響を与えている、光に対する走性を調べることにした。実験を行うにあたって、簡単に飼育できるアルテミアを主として使うのがよいと考えた。アルテミアの幼生に正の走光性があるのは知られているが、その後どう変わっていくのかは、まだよくわかっていない。これらのことから大型鰓脚類の走光性について調べることにした。
結論と感想
実験を通して、どの大型鰓脚類(ミジンコ類)の光に対する行動を見ても、自然界で生き残るための工夫が見られた。例として、アルテミアは孵化直後の一番弱い時期は負の走光性があり、これは護身のためだと考えられる。また、孵化13日もすれば雌雄差が見られ、雌の方が負の走光性が強い。これは産卵するために水底付近にいることが重要となるためだと考えられる。このように1匹1匹のデータをとっていくと、小さな生き物のさまざまな術を実感することができた。また、人との伝達手段を持たない生物の行動の理由を推定するのは、とても楽しいことだった。