第61回入賞作品 中学校の部
佳作

イモリの視力と感情・ストレスと体重変化との関係

佳作

石川県金沢大学人間社会学域学校教育学類附属中学校 3年
部家 匠
  • 石川県金沢大学人間社会学域学校教育学類附属中学校 3年
    部家 匠
  • 第61回入賞作品
    中学校の部
    佳作

    佳作

研究の動機

 家で飼育しているイモリが幸せなのかが気になった。生物の感情(幸せ)は外部からの視覚情報によって決まると予想されるため、まず、イモリの視覚情報を調べることにした。また、人間はストレスを感じると体重が増加したりする。最近では新型コロナの影響で自粛生活を余儀なくされ、運動不足やストレスで太った人も多いと聞くので、イモリの体重が生育環境(ストレス)により変化しているかも気になった。イモリは人間と違って顔の表情で感情を判断することができない。イモリに感情があるならば、イモリへの接し方や飼育環境でイモリがストレスを感じ、人間と同じように体重が変化すると予想できる。そこで、色々な環境下でのイモリの体重変化を調べることで、イモリの感情(ストレス)を調べることにした。

結論と感想

 イモリの視覚について、様々な色のスーパーボールを使って調べた結果、赤>ピンク>青>白>黄=緑の順で認識しやすいことが示された。赤色は多くの生物にとって警戒色であるが、イモリの警戒色も赤色である可能性がある。
 色付けをしたエサを用いてどの色を認識しやすいかを調べた場合、着色なし>青>赤=白=黄=緑の順でエサが早くなくなった。スーパーボール実験からイモリは赤色を認識しやすいことが分かったので、赤色のエサが一番早くなくなると予想したが、エサの色はほとんど影響せず、エサを探すときは嗅覚を使っていることが分かった。
 イモリの体重は環境により変化し、1匹で生活すると体重は減少し、同居するイモリが多いと安心できるのか、体重は増加した。イモリは周りのイモリの影響を受け、感情を変化させながら生活していることが分かった。また、暗い状態では体重を減少し、同じ環境でもイモリ1とイモリ2で体重の増加・減少の傾向が異なったが、この違いはイモリの筋肉量の違いで説明できた。
 イモリの体重は85日間で、-16~+10%(イモリ1)、-27~+9%(イモリ2)の範囲で変化した。この体重変化は人間(僕)で考えると、最大10kgの変化に相当する。イモリは環境による体重変化率が大きく、ストレスを感じやすいことが分かった。イモリが快適に(幸せに)生活するためには、複数のイモリと一緒に飼育し、常に環境を整える必要があることが示された。
 この研究ではイモリの喜怒哀楽まで判断できなかったので、今後は体重変化以外のイモリの感情の判断法について研究を続けていきたい。

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