研究の動機
お父さんが庭の畑で毎年キュウリを育てている。一緒にトマトやナスなども育てているが、他の野菜は自分の体で立って実を付けているのに対して、キュウリは柱やネットにまきひげを巻きつけて、上に伸びていくことに気が付いた。キュウリにとって、まきひががどのような役割をしているのかが気になった。
結論と感想
研究の目的は、キュウリのまきひげがどうしてまっすぐではなく、まいているのか、その理由を実験によって明らかにすることである。2018年の研究では、まきひげとまっすぐなひげが、どれだけの重さを持ち上げられるのか比較する実験をおこなった。その結果、まきひげはその長さと関係なく「力もち」だが、まっすぐなひげは長さと比例して持ち上げる力が弱くなることが分かった。2019年の研究では、まきひげとまっすぐなひげの表面や断面を顕微鏡で観察したが、特に違いはなかったため、まきひげが「力もち」である理由は、まきひげの形にあると考えた。そこで、まきひげと形が似ているバネの特性(引っ張り強さと弾性)2点について、まきひげとまっすぐなひげを比べる実験をおこなった。具体的には、まきひげとまっすぐなひげをバネにした2つのトランポリンを作って、おもりをどれだけ跳ね上げられるのか実験をした。その結果、まっすぐなひげはほぼ伸び縮みしないが、まきひげはよく伸び縮みするのでより高くおもりを跳ね上げられることが分かった。キュウリが重い実をたくさんつけることができるのは、「力もち」でよく伸び縮みするまきひげのおかげである。
まきひげは引っ張り強さと弾性の両方でまっすぐなひげを上回るという実験結果は予想した通りだったが、引っ張り強さについては、まっすぐなひげでも長さが短ければまきひげとほとんど変わらない点は意外だった。また、実験に使った道具は全て手作りしたが、同じ条件で正確に比較できることを特に大切にしたので、実験道具を作る時にはとても苦労した。