第62回入賞作品 小学校の部
オリンパス特別賞

花粉の研究 -花粉の観察と発芽及びスギ花粉の飛散調べ-

オリンパス特別賞

茨城県小美玉市立堅倉小学校 1年・4年
茨城県小美玉市立堅倉小学校 1年・4年
中山 佳穂・中山 咲季
  • 茨城県小美玉市立堅倉小学校 1年・4年
    中山 佳穂・中山 咲季
  • 第62回入賞作品
    小学校の部
    オリンパス特別賞

    オリンパス特別賞

研究のきっかけ

 小学1年生の春先に、スギの木の下を通った時、枝から白い煙のようなものが出ていた。何だろうと思って枝を少し持ち帰り、顕微鏡で観察するとたくさんの粒のようなものが見えた。また別の日に、庭に咲いていた花にさわった時、指先に黄色い粉がついた。これも顕微鏡で調べてみると、丸い粒がたくさんあり、なかには芽のようなものが出ているものもあった。次々と他の花も調べるうちにだんだん面白くなって、この研究を続けることにした。今回は妹が小学生になったこともあり、姉妹で力を合わせて研究した。
 研究の柱は3つで、どれも顕微鏡を使った観察結果をまとめている。研究①は、さまざまな花の花粉の形を観察した。花粉は水や濃度の違う砂糖水に入れると発芽することがあるが、研究②ではその発芽状況を観察した。研究③は、スギ花粉の飛散状況を調べた。顕微鏡観察に使うスライドガラスは厚さ1mmの透明アクリル板を縦7cm、横2cmに切って作り、カバーガラスはスーパーなどで売られる薄いタッパーを1cm角に切って作った。

研究①

研究①「いろいろな花の花粉調べ」の方法

 2021年3月1日のウメ(白)に始まり、8月20日のテッポウユリまで、その季節に咲く172種類の花の花粉を観察した。スライドガラスにスポイトで水を1滴たらし、対象の花粉を水につけ、カバーガラスで覆ってプレパラートを作る。作ったプレパラートを顕微鏡で観察する。花粉の形や大きさ、色などを観察用紙にスケッチし、写真も撮影した。観察用紙にはわかったことを記録し、写真を貼った。
 記録はきちんと残し、観察したプレパラートはアルコール消毒して日にちごとに整理した。ふたりとも誕生日にもらったカメラを持っているので、機会があるごとに草花の写真を撮った。撮った写真は、スケッチブックに貼った。


左上から時計回りに、まるい形、テトラポット形、風船型、シャボン玉形の花粉

研究①「いろいろな花の花粉調べ」のまとめ

 172種類の花粉を調べた結果、花粉にはまるい形(楕円形を含む)、テトラポット形、シャボン玉形、風船形など、さまざまな形があることがわかった。まる形が圧倒的に多く、他の形は少ないこともわかった。
 とげが付いたまる形の花粉やテトラポット形、ねばねばしたクラゲ形の花粉は虫のからだにつきやすく、マツのような風船形は空気袋を持っていて、風に乗って遠くへ運ばれる。ツツジやサツキ、ブルーベリーの仲間は花粉同士が細い糸でつながっていて、ひとつの花粉が虫のからだにつくと、芋づる式に持ち上げられて運ばれる。どんな形の花粉にも、虫のからだにくっつきやすい、風に乗りやすいなど、運ばれやすさを追究した自然の力が備わっていた。

研究②

研究②「花粉の発芽調べ」の方法

 花粉のなかには、芽のようなものが(ニョロニョロ)出ているものがある(花粉の発芽)。初めて見た時は驚いたが、すべての花粉が発芽するのか、調べてみた。
 調べる方法は、水と、濃度が違う砂糖水(2%、4%、6%、8%、花粉によっては10%も試した)を用意して、それぞれ別のスライドガラスに1滴ずつたらし、対象の花粉をつける。カバーガラスで覆ってプレパラートを作り、顕微鏡で観察する。花によって発芽するまでの時間が違うので、30分後、8時間後などしばらく時間をおいて観察し、研究①と同じようにスケッチや写真、わかったことの記録を残した。また、プレパラートの周りが25℃程度になるように、電球で保温したり、アイスノンで冷やしたりして調節した。

研究②「花粉の発芽調べ」のまとめ

 41種類の花粉で試し、発芽したものは26個、発芽しなかったものは15個だった。この結果は予想外で、発芽はもっと少ないと思っていた。他にもペットボトルに入れて振ることで、水や各砂糖水の酸素濃度を高めたり、ストローで息を吹き込むことで二酸化炭素濃度を高めたりして観察したが、酸素濃度が高いほうがよく発芽し、二酸化炭素は発芽には向いていないようだった。

研究③

研究③「スギ花粉の飛散調べ」の方法

 スギ花粉の飛散状況を調べる研究は、小学1年生の時から続けている。今回は2021年1月31日にベニヤ板や丸い棒を使ってダーラム法による花粉集めの器具を作った。下の写真のような直径23cmの丸板の器具を、家の庭の風通しのよい場所に置き、下の円ばんに白色ワセリンを薄く塗ったスライドグラスを1日置く。スライドグラスは夕方に回収して観察するが、回収する時に次の新しいスライドグラスを置く。この作業を5月末まで、1日も休まず続けた。観察したスライドグラスは研究①②と同じように下のような記録を残し、日にちごとに保存した。

研究③「スギ花粉の飛散調べ」のまとめ

 2021年は2月11日に最初のスギ花粉1個を観測し、2月のピークは21〜24日(それぞれ20、44、90、16個)だった。3月に入ると初旬にピークがあり(2日36個、3日13個、6日42個、7日23個)、下旬にもピークがあった(22日32個、25日23個、26日22個、31日28個)。
 4月は初旬に小さなピークはあり(2日18個、4日20個、8日13個、9日14個)、16〜24日がやや大きなピークとなった(17日26個、21日と22日それぞれ20個、23日12個)。5月に入ると5個以上飛散する日はなくなり、花粉の飛散は終息を迎えた。
 全体的に見ると、2021年のスギ花粉のピークは、2月20日から3月31日ごろだった。
 2021年は、スギ花粉の飛散量だけを調べてきた。今後は花粉症対策を考えて、どうしたら花粉症の人を救えるのか、健康面からの研究も進めていきたい。

指導について

中山 義熙

 この研究は、1年生の春先にスギの木の下を通りかかった時、木から白い煙のようなものが降り掛かったのを不思議に思い、顕微鏡で観察したことがきっかけです。観察の方法は、スライドガラスにワセリンを塗ったものを、庭先にセットして、毎日調べるだけのものです。毎年調べた結果、スギ花粉は2月中旬頃から飛び始め、3月にピークを迎え、4月には少なくなっていくことが分かりました。
 花の花粉調べついては、家の庭や、道端、野原に咲いている多くの花を集め、その花粉を顕微鏡で観察しました。その結果、花粉には丸い形の物や、三角形、長方形の物、周囲にトゲのある物、海のテトラポットのような形の物、シャボン玉や風船のような形の物など様々な形の物があることが分かりました。
 花粉の発芽については、色々な花の花粉を水や濃度の違う砂糖水の中に入れて、芽のようなものが出てどんどん成長して行く姿を観察しました。まさに、生命誕生の姿でした。

審査評

[審査員] 木部 剛

 スギの枝から出る黄色い粉を不思議に思い顕微鏡で観察したことがきっかけとなって始めた花粉の研究です。4年目の今年は春から夏にかけて約170種類の植物を対象に観察を行い、花の写真、花粉の顕微鏡写真とスケッチ、花粉の色や形、数などわかったことを記録しました。写真をたくさん撮っただけで終わることなく、スケッチや自分の言葉で花粉の特徴を記録し、花粉の特徴を形で分類し、その形のもつ意味を考え、まとめ上げたことが高く評価されました。この研究では他にもテーマを設定し、花粉の発芽の様子の観察も行い、さまざまな条件下で花粉の発芽と花粉管の様子を写真とスケッチと言葉で記録しました。また、春先にはダーラム法によるスギ花粉の飛散数の観測も行いました。普段見ることの少ないミクロの世界に興味を持ち、粘り強い観察からまとまった研究につながりました。花粉の大きさも計測できるようになれば、さらに研究が深まっていくことと思います。

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