〔研究の動機〕
最近カブト虫がつかまらなくなってきた。今年も、呉羽山や富山市大山町の森の中で、樹液を出している木を探したり(樹液採集)、街灯のある場所を探したり(灯火採集)したが、カブト虫は見つからなかった。バナナと焼酎を混ぜたエサを木にかけておいても(トラップ採集)、カブト虫は集まってこなかった。
私たちは、なぜカブト虫がいなくなったのかを予想した。①地球温暖化でカブト虫の数が減ってきた、②樹液が出ている木が少ない、③バナナと焼酎を混ぜたエサによってこない、④街灯がLED(light emitting diode)に変わっているためカブト虫がよってこない。懐中電灯もほぼLEDのものしか売っておらず、白色LEDには、カブト虫がよってこない。この4つの中で、①と②は、地球温暖化の問題が関わってくるのですぐには解決できない。③と④については、私たちがもっとカブト虫のことをよく知れば、カブト虫がたくさん集まってくる最強のトラップが作れるはずである。③では、バナナとどの様なお酒を混ぜたらカブト虫が集まってくるか、④では、白色LED以外のLEDの光の色では、カブト虫は集まってくるかどうかを調べようと考えた。
そこでカブト虫がたくさん集まってくる最強トラップを作るために、研究を行うこととした。
〔結論と感想〕
ダンボールで実験装置を作り、カブト虫のオス3匹、メス3匹を使って、実験を繰り返した。最後は、自然場面でも実験した。その結果、以下結論に至った。
結論1
カブト虫は、触角でエサのにおいを感じ取り、集まってくる。
私たちの予想では、カブト虫が夜行性であり目では樹液を見つけにくいのではないか、今までバナナと焼酎を混ぜたにおいのするエサ(バナナトラップ)で、カブト虫を集めていたことを考えると、カブト虫はエサをにおいで探していると予想した。予想が当たり、エサのにおいを触角で感じ取りエサによっていった。
結論2
カブト虫の一番好きなにおいのエサは「バナナに赤ワインを混ぜたエサ」であり、カブト虫はこのエサに集まってくる。私たちは、一番甘そうな「バナナに黒糖梅酒を混ぜたエサ」に集まってくると予想していたが外れた。カブト虫は、ブドウやモモにもよってくるので、ブドウを材料とした赤ワインを混ぜた方が効果的だったと考えた。
結論3
カブト虫の一番好きなLEDの光の色は、「紫外線」であり、カブト虫は、この光に集まってくる。電撃殺虫器や従来の街灯には、紫外線が含まれていて、昆虫が集まることを調べて知っていたので、紫外線LEDでも昆虫が集まってくるのではないかと予想した。予想が当たり、昆虫であるカブト虫も紫外線LEDに集まってきた。
結論4
カブト虫が一番集まる最強トラップは、「バナナにワインを混ぜたエサと紫外線LED」である。私たちの予想は、カブト虫の一番好きなにおいと一番好きなLEDの光の色の最強同士を合わせれば、より最強のトラップができると予想した。予想は当たり、最強同士合わせたものに、カブト虫が一番集まってきた。
結論5
8月下旬の月が出ている時に、最強のトラップを山で仕掛けた。しかし、カブト虫は1匹も集まらなかった。最強のトラップを使っても、最強の自然環境を考えないと、カブト虫は集まってこない。地球環境を守ること、最強のトラップを仕掛ける時の周囲の自然環境が大切であることを考えた。
感想
実験で明らかになった結果を用いて、最強のトラップを作って山で仕掛けたが、カブト虫が1匹も集まらなかったのは残念である、今後は、カブト虫がもっとも活動する最強の自然環境を研究して、最強の自然環境の下で最強のトラップを仕掛けて、カブト虫を集めたい。
カブト虫は夜行性で、実験が夜中になってしまう。少し眠い時もあるが、カブト虫の一番好きなにおいのエサや、一番好きなLEDの光の色等、新しいことが発見できて大変うれしい。今後も、カブト虫の実験を続けて、カブト虫のことをもっと知りたい。同時に、カブト虫の暮らしやすい自然環境を考えて、環境作りに協力できるように行動したい。