研究の動機
小学5年生の時にヌートリアが自分の住んでいる地域で交通事故により死んでいた。本では、見たことがあったが、自分の住んでいる地域でヌートリアを見たことがなかったため、ヌートリアがどんな生活をしているのか興味を持った。ヌートリアは、戦後に毛皮目的で南米から日本に輸入された動物である。そのヌートリアが自然界に放たれ野生化し、現在では、人間や日本の貴重な生態系に被害を与えてしまう動物とされ、特定外来生物に指定されている。
しかし、ヌートリアが捕獲される現場を見学するなど研究を進める中で、ヌートリアも私たちと変わらない生きもので、人間に利用されただけの尊い命であるということを身にしみて感じた。そのため、ヌートリアの命をむやみやたらに奪うことは正しくないと考えた。そのためには、これまであまり解明されていなかった、ヌートリアの生態を解明することが大切であると思い、今年の研究を行った。
結論と感想
今回の研究からヌートリアの生態について以下の11のことが分かった。主な内容は下記のとおり。
①ヌートリアは農作物のイネや海浜植物のハマゴウ、海洋に生息する動物性プランクトンの放散虫、海洋に生息する海綿を食べる。②ヌートリアは塩分濃度33.4%にまで生活できる。③ヌートリアは浜松市に進出するとき浜名湖(汽水湖)を泳いで渡ったと考えられる。④プラントオパールを抽出する方法でプラントオパール自体を溶かさず、鉄片が入らない過酸化水素水+塩酸法が最も有効である。⑤保護毛は水が反射して強くなった紫外線から身を守るため遮光性の役割がある。⑥保護毛は波、水の抵抗で変形しないようにするため毛の太さを太くし、中のコルテックス量を増やしている。⑦下毛は暖かな水、空気を蓄えるため複雑な構造にするため、先端をとがらせ、毛の太さを細くしている。⑧下毛は水を吸収しすぎないようにオルソコルテックス、パラコルテックスから成るバイラテラル構造になっている。⑨ヌートリアの毛は水をスムーズにおとし、体力の消耗を削減するために毛の先をつるつるさせている。⑩ヌートリアの毛は保護毛と下毛からなるダブルコート構造になっている。⑪ヌートリアの毛が海での生活に適していたこと、海のものを食べていたこと、高塩分濃度でも生活できるように適応していたことから、ヌートリアが海でも生活できることが分かった。
ヌートリア研究の第一人者である岡山理科大学の小林教授に聞いたところ、以上のことを証明した研究はないということが分かった。