研究の動機
小学校2年生の時に潜水艦のおもちゃが錆びたことをきっかけに錆に興味を持った。4年生の時に近所で錆びたような水たまりを見つけ、鉄バクテリアという微生物の存在を知った。鉄を酸化する生物がいることに感動し、それから鉄バクテリアをテーマに研究している。八箇峠の河原に鉄バクテリアの沈殿物が大量にあることが分かり、今年度は周辺の地層を含めた観察を行い、八箇峠の地層と鉄バクテリアの関係について考察した。昨年度から微生物発電を始め、鉄バクテリアがいる土の方が長期間安定して発電することが分かった。そこで、鉄バクテリアと発電菌が共存することで発電量が上がると予想し、日本科学未来館の「スーパー発電菌をみんなで探そうプロジェクト」にも参加して研究を続けた。
結論と感想
八箇峠には露頭が多く、鉄錆のような物が流れ出ていた。露頭がある山側の川底は錆色で、露頭付近や河原の水たまりから鉄バクテリアが見つかった。地層には火山灰の鉱物が含まれ、鉄分が多い土地の可能性がある。観察からこの地域は鉄バクテリアの生息に適していると考えた。微生物燃料電池の研究では、予想に反して鉄バクテリアの沈殿物を加えない田んぼの発電量が高かった。9月に入り加えた田んぼの発電量が上がってきたため、予想を完全には否定できない。田んぼにジオバクターなどの発電菌がいるなら、二価の鉄イオンを三価に変える鉄バクテリアは味方になるだろう。今後も鉄バクテリアと発電菌の関係について研究したい。