あるとき母が「エンボス加工というもののおかげで御飯がくっつかないのだって」と言って買ってきた表面にボツボツのあるしゃもじが研究のきっかけとなった。早速このしゃもじを使ってみると、確かにボツボツのないプラスチックや木のしゃもじと比較すると格段に付着する米粒の数が少ない。「なぜボツボツの有無でこんなに差が出るのだろう」と疑問に思った。
実験
① | 素材の違う5種類のしゃもじの御飯を乗せる部分を全て御飯の中に斜めに差し込み、取り出した時の御飯粒(以下、米と記述)を5回数えて平均値を出した。 |
② | ノギスで、ボツボツの直径・高さ・ボツボツ間の幅を測定した。 |
③ | 米の長さ・高さ・幅を測定した。 |
④ | しゃもじの上にでんぷん糊を長さ3cm程度のせ、直角に静止させて、糊が落ちるまでにかかった時間を計った。 |
⑤ | しゃもじにのせたでんぷん糊を上から薬さじで軽くつぶして4)を行った。 |
⑥ | 炊き上がったばかりの米・炊いて1日過ぎ温め直した米・炊きあがってから冷やした米・炊いて1日過ぎ冷えている米の、それぞれつぶれているものとつぶれていないものを用意し、バネを利用した自作の米の粘り気測定器で粘着力を調べた。 |
⑦ | しゃもじにヨウ素をかけてでんぷんの付着を調べた。 |
⑧ | プラスチック板上に米を同一方向に20粒ずつ(縦と横)、密集状態にそれぞれ並べ、しゃもじを当てて下方にずらして行き、板の反対側から写真撮影し、しゃもじ上での米の動き方を調べた。 |
⑨ | しゃもじを差した時の米をデジタル顕微鏡で観察した。 |
① | 御飯にしゃもじを差し込んだ時に米がつぶれ、でんぷん糊となり、しゃもじに付く。 |
② | 付く米1粒の粘着力は15.6g~51.8gの力でばねばかりを引くと紙がはがれる程度である。 |
③ | ボツボツのあるしゃもじに米が付かないのは、ボツボツが米粒にあたり、米粒が転がることで、でんぷん糊ができないからである。 |
ふつうのしゃもじを差し込んだ米粒 |
ボツボツのあるしゃもじをし込んだ米粒 |