「ぼくのいえはいきものらんど」(1998年)からこの研究は続いている。今年度は9ヵ年のフィールド・ワークから学んだ、生き物が自由に出入りの出来る蝶園を造り、囲いなしでも蝶園はできること、食草さえあれば蝶は来ることが分かった。また、これまで、オオゴマダラを中心に寄生バエの研究観察を続けてきたが、他の蝶達も羽化していないものが多いことに気付かされた。原因を知ることによって、多くの幼虫達が成虫になれるように助けてあげることもできるし、生き物同士のさまざまなつながりも見ることができると思い、寄生バエの研究を続けることにした。
観察2006年5月7日、アオスジアゲハの寄生された蛹 を見つけた。破裂しそうな位、パンパンにふくれてい た。茶色い寄生バエの幼虫が蛹の中にあるのが観察さ れた。パックの中にティッシュを敷き、寄生されたア オスジアゲハの蛹を入れた。5月14日 アオスジアゲ ハの蛹から寄生バエの幼虫が出てきて、蛹になってい た。寄生バエの幼虫が出てきたところからはアオスジ アゲハの体液が出ていた。5月21日 ハエが羽化して いた。普通の寄生バエよりもひとまわり大きく、羽も かなり長かった。5月22日 2匹の寄生バエが羽化して いた。アオスジアゲハの蛹の中に寄生していたハエは 合計3匹だった。
① | 幼虫や蛹が大きいと成虫のハエも大きくなることが分かった。 |
② | アゲハ蝶類に寄生する寄生バエの種類は同じことが分かった。これまでの研究資料や標本からカイコウジバエの可能性が高い。 |
③ | ハエの幼虫も蝶の幼虫のように、食べるものと食べないもの(食草、寄生)がはっきりしていることが分かった。 |
④ | 寄生バエは3月頃から発生し、5~6月、蝶の幼虫が増えた頃多く見られる。暖かく湿度の高い季節が繁殖期なのではないか。環境破壊、地球温暖化が進み、寄生バエが繁殖しやすい環境となっていることに気付かされた。 |
寄生されたアオスジアゲハの蛹 |
寄生バエ |