いりえ・たかひろ
1980年神奈川県生まれ。小学校の理科の先生に影響を受け、生物に興味を持つ。その後、両親の協力のもと日本各地の浜でタカラガイを採集。高校時代には親しくなった教育実習生にタカラガイの学術論文を共有してもらったことも。九州大学では生態学や数理生物学を学ぶ。大学院はタカラガイが多く生息する沖縄の琉球大学へ国内留学し、タカラガイの稚貝飼育実験を成功させた。スタンフォード大学の研究など経て2014年より現職。いりえ・たかひろ
1980年神奈川県生まれ。小学校の理科の先生に影響を受け、生物に興味を持つ。その後、両親の協力のもと日本各地の浜でタカラガイを採集。高校時代には親しくなった教育実習生にタカラガイの学術論文を共有してもらったことも。九州大学では生態学や数理生物学を学ぶ。大学院はタカラガイが多く生息する沖縄の琉球大学へ国内留学し、タカラガイの稚貝飼育実験を成功させた。スタンフォード大学の研究など経て2014年より現職。中学3年間の夏休みの研究として、日本の各地(千葉~石垣島)でタカラガイを採集。殻の長さ、幅、高さを計測し、どのような傾向があるのかなどを調べた。詳細なスケッチと観察結果が書き留められており、審査員からは「内容が高度で専門的」との評価を受けた。
入江さん:
小学校の海浜学校で、宝石のようにきれいなタカラガイと出合いました。その殻を計測して調べるうちに、個体ごとに形や大きさが著しく異なることに気づきました。なぜ個体差が生まれるのか、その謎を知りたくて研究を開始。その後も研究を続けましたが、大学での専攻は数理生物学でした。数理生物学とはその名のとおり、生物学と数学が融合した学問です。大学院は稚貝※が豊富に見つかる沖縄へ。本腰を入れて、タカラガイの飼育実験をしたかったのです。入江さん:
飼育実験の目的は、異なる温度条件下で飼育したときの貝殻のサイズ変化を観察すること。実は、世界的に前例のない実験でした。水槽内の温度調整から餌の海藻の管理まで、すべてが手探りの中での挑戦。論文を発表できるデータが得られるのか、ときには不安を感じながらも、諦めずに5年間続けた結果、「タカラガイは飼育温度が高いほど小さなサイズになる」という、世界で誰も知らなかった答えにたどり着きました。入江さん:
現在は、大学時代に専攻した数理生物学を生かし、マグロの遺伝情報から生息数を予測し、漁業量の制限値を導く業務を担当しています。タカラガイの研究?もちろん続けていますよ。今後は、タカラガイの稚貝の前段階である「プランクトンの飼育」に挑戦予定。これも前例がないので苦労すると思いますが、それでも「知りたい」。タカラガイへの興味は尽きません。