ばば・ゆうき
1979年福岡県生まれ。昆虫写真が趣味の父の影響により、幼少のころより生き物に興味を持つ。2002年九州大学理学部生物学科卒業、2008年東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻博士課程修了、2015年4月より現職。子ども向けに開催している田んぼの生き物を観察するイベントでは、協力してくれる地元農家さんとともに、自然環境とそこに暮らす生き物の素晴らしさを伝えている。ばば・ゆうき
1979年福岡県生まれ。昆虫写真が趣味の父の影響により、幼少のころより生き物に興味を持つ。2002年九州大学理学部生物学科卒業、2008年東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻博士課程修了、2015年4月より現職。子ども向けに開催している田んぼの生き物を観察するイベントでは、協力してくれる地元農家さんとともに、自然環境とそこに暮らす生き物の素晴らしさを伝えている。海岸に生息するハエトリグモの生態を約1年の長期間にわたって観察。野外観察だけでなく、自宅でも飼育して毎日のように記録を積み重ねた。音が聞こえるのか、目は見えるのか、エサの獲り方や水の飲み方、どういった形状の巣をつくるか、好む環境などの生態をレポートしている。
馬場さん:
クモに興味を持ったのは、小学4年生のころ。カブトムシやクワガタよりも身近にいる生き物にもかかわらず、ほとんどの人が「何を食べるのか」、「どんな種類がいるのか」を知らないマイナーな生き物。だからこそ、調べるほどに発見がありました。とはいえ高校時代にはクモと距離を置くことに(笑)。馬場さん:
大学時代にはクモの生態・進化・系統に関わる基礎研究に取り組み、現在は農地におけるクモの役割の解明といった応用研究に励んでいます。主なテーマは、農薬の使用有無をはじめとした条件の異なる水田でのクモの生息数調査。水田には農作物の害虫を食べるクモの数に比例して、クモをエサとするカエル類も住んでいます。一般的には「気持ち悪い」と思われがちなクモは、水田の“豊かさ”の指標なのです。クモの糸を繊維として実用化する研究も行われていることからも、クモは生態系で大きな役割を持ち、人間の暮らしに深く関わっているのだと感じています。馬場さん:
これまでの研究人生で一番うれしかったことは、新種のクモに“ババ”の名前をつけていただいたことです。思い返せば、小学生のときに習得したクモの育て方や扱い方は今の研究に役立っていますし、謎を解明することの喜びが現在までの研究のモチベーションとなっています。クモの研究が、環境と人に優しい農業に貢献できるよう、フィールドを広げながら研究を続けていきます。