研究の動機
ショウジョウバエは、家の中でも見ることのできる身近な昆虫である。そのショウジョウバエの味覚に対する研究では甘味と塩味を感じていること、また、アミノ酸に対する嗜好性があることが明らかになっている。さらに、特にアミノ酸の中でも、コンブに含まれるグルタミン酸に嗜好性があることが示されている。しかし、同じうま味成分でもシイタケやカツオブシのような核酸系の物質への嗜好性はあまり研究されていない。そこでショウジョウバエもヒトと同じように核酸系の物質に嗜好性を示すか興味を持ったため、この研究を始めた。
結論と感想
ショウジョウバエは5%グルコース、10%グルコース、コンブのだし汁、干しシイタケのだし汁に嗜好性があり、酸、カツオブシのだし汁、0.1%イノシン酸や0.1%グアニル酸を添加したエサには嗜好性がないことが分かった。干しシイタケのだし汁にコンブのだし汁とほぼ同じくらいの強い嗜好性があることが分かったので、ショウジョウバエは核酸系のうま味物質に嗜好性を持つという可能性が示された。しかし、0.1%のグアニル酸に対しては嗜好性が見られなかったので、その原因を明らかにすることが重要である。