研究の動機
ダンゴムシで家庭から出る生ゴミを処理できないかと小学6年生から研究している。20匹のダンゴムシは生ゴミを1週間で2g食べ、125.6mgのフンを排出し、93.72%の生ゴミがなくなった。とても効率の良いコンポストになると考えた。ダンゴムシの数を100匹に増やすと生ゴミは腐りやすくなり、1匹あたりの食べる量が減った。また、飼育容器に土を入れると、生ゴミはさらに腐りやすくなる。中学1年生では、飼育容器から土を除去し、生ゴミ(茶殻)を電子レンジで乾燥させ、加湿用のキッチンペーパーとの距離を保つ飼育方法を考案し、100匹の飼育にも成功した。しかし、土を除去すると、プラスチック面を移動することで滑って転倒しやすく、生ゴミにたどり着きにくくなり処理能力の低下がみられた。そこで今回、ダンゴムの移動しやすい床材の特徴をダンゴムシの脚の構造や起き上がり方に注目しながら5つの実験を行った。
結論と感想
ダンゴムシが移動しやすい床材について、4種類の床材(アクリル板・紙・緩衝材・金網)を使って「滑りやすさ」と「起き上がりやすさ」の2点で評価、考察した。私は床材の表面に凹凸があるとダンゴムシは脚で床面を支えることができ、滑りにくく、起き上がりやすくなるだろうと予想した。予想通り、「滑りやすさ」と「起き上がりやすさ」は床材表面の凹凸に関係していた。そして、凹凸の大きさ(段差)によって滑りやすさや起き上がりにかかる時間に差が生じる。体長10㎜以上のダンゴムシが起き上がるためには、段差が0.15㎜(セロテープ3枚重ねの厚み)が必要である。ダンゴムシの脚の爪の形状によって滑りやすさや起き上がりにかかる時間に差が生じ、個体差があることが分かった。
以上のことをふまえ、ダンゴムシコンポストの床材に金網を選択し試作品を作った。ダンゴムシ100匹で生ゴミの処理能力などを検証し、将来、ダンゴムシの数を増やして実用化を目指す。