第59回入賞作品 小学校の部
継続研究奨励賞

あさがおの観察と研究 6

継続研究奨励賞

兵庫県姫路市立青山小学校 6年
青木 柚花
  • 兵庫県姫路市立青山小学校 6年
    青木 柚花
  • 第59回入賞作品
    小学校の部
    継続研究奨励賞

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観察の背景

 1年生の授業で栽培したのをきっかけに、6年間継続してあさがおの観察と研究を行った。
 2016年までの観察から、あさがおの種を遅まきすると開花までの期間が短くなるとわかった。そこから、「寒いと種が熟さないため、寒くなる前にたくさんの花を咲かせ、急いで種を作ろうとする」と仮説を立てた。
 2017年の観察では、8月の暑い盛りに花が咲いても、ほとんど実にならないことがわかった。そこから、「暑すぎるとうまく実が作れないため、暑くなる前にたくさんの花を咲かせて急いで実を作ろうとする」と仮説を立てた。真夏の暑さも、種を遅まきすると開花が早まる理由のひとつだろうと考えた。  2018年の観察は、2017年までの観察をくわしく見直すことにした。暑さの盛りに咲く花が「受粉しないから結実しない」のか、「受粉しても結実しない」のかを確かめるため、観察期間中、日本あさがおの青花が2本咲いた日は、人工授粉する花と自然に放置する花を作り、その結実率に差が出るかを調べた。
 2017年に行った「花の咲きやすさ」「実のできやすさ」と季節との関係を探る調査も続けた。2018年は毎日、開花した日本あさがおの青花2本(受粉観察の個体を兼ねる)、赤花1本を選び、その3本のあさがおが後に実をつけたのかを観察する。1か月を10日ごとに上・中・下旬(31日まである月は下旬が11日)と分けて、各期間にどのくらい花が咲き、後に熟した茶色い実(茶実)をつけたか、「開花率」と「結実率」を計算する。開花率は【青花と赤花の開花総数÷最大花数×100】、結実率は【茶実の総数÷開花総数×100】で求める。最大花数とは、観察したすべての日に青花2本・赤花1本が咲いたと仮定した数。留守で観察できない日などは除くが、基本的には各旬10日間なので30(31日までの下旬は33)となる。


観察したあさがおについて

 2017年の開花率と結実率は下の表のとおりだった。


※2017年は毎日、青花1+赤花1=2本を観察したため最大花数は最多22

2018年の観察

 2018年は6月4日に種をまき、6月9日に発芽、7月18日に最初の青花が開花、8月2日に最初の赤花が開花、8月22日には青花最初の茶実が見られた。
 8月31日までの開花率と結実率は表のとおり。

 2018年は種まきが遅かったこと、例年より暑さが厳しかったことで成長が遅く、花や実の数も少なかった。8月下旬は、8月31日時点でまだ熟していない段階の結実率は20%だったが、このまま茶実にならず終わるものもある。最終的に2017年と同程度まで下がる可能性が高い。
 2017年までの観察結果も踏まえると、結実するのにちょうどいい開花のベストシーズンは7月上・中・下旬(結実率40~50%以上)で、約30~40日で種は熟した。9月中旬の結実率も高いが、種が熟すまでに60~80日かかるため、寒さで枯れてしまうまでに間に合うかどうか際どい。最も暑い8月中旬の結実率は10%以下、寒さだけでなく、暑さも結実率に悪影響を与えるといえる。人工授粉の有無で結実率に差があるかの調査では、どちらの青花も同じ結実率23%だった。夏の盛りの花は、「受粉するが結実しない」可能性が高いとわかった。
 種を遅まきすると開花が早まる理由は、「真夏の暑さ」の前に開花と結実をすませ、「秋の寒さ」の前に種を熟すために開花を急ぐから、と結論づけたい。

研究の背景

 あさがおの観察を続けるうち、同じ品種に青花と赤花があり、さらにつぼみ・花・咲き殻(しぼんだ花)でもそれぞれ色が違うことに興味を持った。青花のつぼみは赤紫色、花は青紫色、咲き殻は赤紫色だ。赤花のつぼみは赤ピンク色、花は赤紫色、咲き殻は赤ピンク色をしている。
 2015~17年の研究では、つぼみと花、咲き殻の色水をそれぞれ作り、色水の色を比較した。色水のpHを調べた結果、つぼみのpHは5.4~6.6、花は6.6~7.6、咲き殻は5.4~6.6だとわかった。そこから、つぼみ(弱酸性~中性)→花(中性?弱アルカリ性)→咲き殻(弱酸性~中性)とpHが変わることでアントシアニン(あさがおの色素)の色が変化し、つぼみ・花・咲き殻の各色が違って見えるという仮説を立てた。アントシアニンはpHによって赤(酸性)→紫(中性)→青(アルカリ性)と色が変わる。
 2018年の研究は仮説に基づき、つぼみから花になる時に、pHをアルカリ性へ寄せる原因物質があると考えた。そのアルカリ性の何か(物体X)を見つけるための研究をした。

2018年の研究

吸わせる水のpHを変えて物体Xを検証する

 赤花のつぼみ4つを、茎1cmを残して切り取り、2つは水道水(中性・pH7)、残りはクエン酸水(酸性・pH5)とセスキ水(アルカリ性・pH9)を入れたカップに差した。カップは屋内に置き、夜は照明の光を当てないようにし、咲かせる花の色を観察した。

結果

 色の変わり方はどれも屋外の花と同じで、吸わせる水のpHで花色は変わらなかった。

つぼみを切り取る位置を変えて物体Xを検証する

 小さい青花のつぼみを4つ選び、1つは切らずに鉢のままにした。1つはがくのすぐ下、残りの2つは花びらの途中で切り取って、切ったつぼみはすべて水道水を入れたカップに差し、条件を揃えるためにカップを屋外に置いて、色の変化を観察した。

結果

 花が咲き、咲き殻になるまで、4本の花色の変化はすべて同じだった。
 このことから、花をアルカリ性に寄せる物体Xはもともと花びら全体に存在し、その量も変わらないと推測できた。あさがおの目的は「たくさん水を取り込んでつぼみを大きく伸ばし、開花、受粉すること」であり、水分を取り込むための手段が「つぼみの先端の色付き部分に物体Xを集めること」であるとも考えられる。開花すると色が変わるのはオマケとしての結果だろう。咲き殻になると、物体Xは色付きの部分から出て再び花びら全体に散らばるのではないか。
 あさがおは身近だが、わからないことがまだまだある。物体Xの正体や働きについて、今後も調べたい。

指導について

青木 清美

 1年生の授業での栽培をきっかけに、あさがおの観察と実験を継続して行っています。6年目の今年は、「タネを遅まきすると開花が早くなる理由」と「開花時に花色が青っぽく変化する理由と、その原因物質(物体X)」について調べました。あさがおは身近な花ですが、毎回新たな発見と驚きがあります。“あさがおの都合"に合わせるのは、なかなか骨が折れました。特に今年は、酷暑と3度もの台風に見舞われ、葉が枯れて花付きも悪く、ヒヤヒヤし通しでした。十分なサンプル数を確保し、再現性ある研究ができる環境を作ることは、今後の課題の一つです。「科学は日常生活と密接に関わっている」ことを感じてほしいとの考えから、小学生の間は“キッチンは理科室"を合言葉にして、100円ショップやホームセンターで入手できる品を工夫して使うようにしました。中学生では、蓄積した知見やスキルを発展させ、より専門的な研究にチャレンジしてほしいと思います。

審査評

[審査員] 友国 雅章

 青木さんが小学1年から続けてきたアサガオの研究も6年目になりました。今回はテーマを①開花のベストシーズンはいつかと、②開花時に花の色が青っぽく変化する理由、の2つにしぼって観察と研究を進めました。2018年はアサガオが猛暑の影響で思ったように育たない事もありましたが、①については「結実するには7月上旬~下旬の開花がベストシーズン」であること、また②については「花びらの中にあるアルカリ性の物体Xが花色を青っぽく変化させている」ことが分かりました。観察と研究を進めるに当たっては、それぞれ2つの仮説を立てて、それを検証するという方法を採ったことにより、しっかりした目標ができて着実に進めることができました。
 青木さん自身の感想にもありますが、生き物相手の研究では条件を揃えて観察や実験をするのは容易ではありません。アサガオのような身近な植物でもまだ分かっていないことはたくさんありますが、「継続は力なり」を信じて、中学生になっても研究を続けてください。

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