- 茨城県つくば市立春日学園義務教育学校 春日学園科学部 7年・8年
飯嶋大地・植村 丈・大庭 有乃・門脇 隼雄・山下 優希・山口 瑞生・伊藤 啓慈・大江 峻太朗・平野 大雅・三浦 悠香・山口 千晶
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第61回入賞作品
中学校の部
佳作
研究の動機
現在、海洋プラスチックごみが海洋汚染や生態系に影響を与えることやごみが細分化されたマイクロプラスチックが高次消費者に蓄積し、海洋生物やヒトに悪影響を与えることが問題となっている。そして、海洋マイクロプラスチックの発生源は、陸域や河川と考えられている。しかし、河川や沼のマイクロプラスチックに関する研究はあまり行われていない。
本校科学部は、つくばエクスプレスの開通により、急速に都市化してきた春日学園地区の自然環境を2018年度より、継続的に調査している。特に、蓮沼川の水質調査や動植物の生息調査ならびに大気の汚れ等を測定して実態を明らかにしてきた。春日学園地区における自然環境の継続研究に加え、①春日地区を流れる蓮沼川を中心とした河川や沼におけるマイクロプラスチックの汚染状況を調べることとした。そして蓮沼川の各地点における水質とマイクロプラスチック量、土地活用との関係性を明らかにしたい。②春日地区の大気環境調査を行っていきたい。③春日学園の横にかつらぎ公園があり、在来種と外来種のタンポポが生息している。その群落地の土壌の性質を調査していきたい。
結論と感想
- (1)
- 河川マイクロプラスチックは、多くの人間が生活している場所を流れる谷田川(蓮沼川の下流)や牛久沼に多く存在した。下流にいくほど、マイクロプラスチック量が多くなるわけではなく、河川の流れ方や水量、まわりの環境により、水が他場所へ移動しにくく、漂うような場所に多く見られた。さらに、河川には洗濯後の生活雑廃水に含まれ、浄化槽では処理できない大きさの化学繊維(マイクロプラスチック)が大変多いと分かった。亜硝酸性窒素の値が高くなると化学繊維の本数が増えたことは、化学繊維に巻き付いて固まっている有機物のごみが深く関係していると考えられる。牛久沼、谷田川には多くの化学繊維が見られたことから、洗濯をする際にでた化学繊維が、下水処理場を通り抜け、洗濯をした生活廃水といっしょに川に流れ込み、いろいろなごみを巻き込み、海に流れるという可能性がある。今後、生活雑廃水の化学繊維対策が必要であることを提案していきたい。
- (2)
- 大気環境が汚れている場所は、土地活用が進み、活発に経済活動が行われているところであった。二酸化窒素濃度と浮遊塵量と関係があった。その理由を今後の課題としたい。
- (3)
- 在来種のカントウタンポポの群落地と外来種のセイヨウタンポポの群落地の土壌を比較すると、土壌の水分量が多く、pHの値が小さい土壌に在来種が群落をつくると分かった。元々春日地区は、在来種が多く生育していたが、開発により、コンクリート等が増え、土壌の性質は、水分量が小さく、コンクリート溶解によりpHの値が大きいアルカリ性へと変化した。そのような土壌では、在来種が生育しにくいため、競争がなくなり、外来種が侵入して群落地をつくったと考えられる。
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