夏休みに科学部4人で、つげ櫛体験教室に参加しました。つげ櫛の、普段使っているプラスチックのブラシとは違う滑らかな心地よい櫛通りに驚きました。また、つげ櫛の歯を磨く「歯ずり」という作業を行いました。白い凸凹した紙のようなやすりで櫛の歯をこすってみると、ジャリジャリと音を立てながら木のくずが出てきました。この紙のようなものは何だろうと不思議に思っていると、「トクサ」という植物の茎であることを教えていただきました。私たちは、なぜ「トクサ」で櫛を磨くのか調べてみることにしました。
予備実験
ヒメトクサ、トクサ、オオミズトクサでバルサ材をこすって観察した結果、トクサやオオミズトクサで木材を磨くことができることが分かった。
追究
1.トクサやオオミズトクサの茎を顕微鏡で観察した。
2.①トクサやオオミズトクサの茎でバルサ材の表面を10回こすり、顕微鏡で観察した。②10種類の紙やすりで①と同様の実験を行い①と比較した。③磨いた後のトクサ、オオミズトクサ、紙やすりを顕微鏡観察した。
3.静電気測定装置を自作し、トクサ、オオミズトクサ、紙やすりで磨いたバルサ材、磨かないバルサ材の静電気の大きさを測定した。
結果・考察
1)トクサやオオミズトクサの茎には、表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化した透明半球状の小さな突起が規則的に多数並んでいる。この小さな突起で木製品を磨くことができる。
2)トクサは150番の紙やすり、オオミズトクサは320番の紙やすりと同程度の研磨力があることが分かった。
3)トクサやオオミズトクサは、列状に並んだ突起間の溝に木くずをためるため研磨力が低下しないこと、透明半球状の小突起がつぶれたり、欠けたりする現象はほとんど見られないことが分かった。
4)トクサやオオミズトクサで木材を磨くと、静電気が抑制されることが分かった。
バルサ材を磨いた後のオオミズトクサ
①列状に並んだ突起間の溝に木くずがたまっていた(40倍)
②突起間の溝の様子(40倍)
③紙やすりの研磨剤にあたる突起(60倍)
※突起間に木くずが入り込むことはなかった。