2年生になって、感覚器官である目のつくりとしくみを学習するうち、目の錯覚について調べてみたいと思った。白黒の模様のコマであるにもかかわらず、回すと色づいて見えるベンハムのコマについて、調べてみることにした。
実験装置の作製
ケント紙に直径16㎝のコマ(図1)を印刷した。回転台は、電圧3Vで870rpm(14.5Hz)出せるようにして木の土台に固定した。廃DVDでコマを支えた。コマを9Hzで回し、1/1200秒ごとに撮影し、途切れなく回転していること、色はついていないことを確認した。 |
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図1 |
実験 Ⅰ.
照度約1000ルクス、コマと目の距離30㎝で、コマを真上から観察した(観察者3人)。時計回りと反時計回りで、2Hzから14Hzまで、2Hzずつ回転速度を変化させた。見えた色をJIS規格「物体色の色名」をカラーレーザープリンタで印刷した表で同定した。
結果
(1)見えた色には個人差があった。
(2)コマの回転が逆になると、見える色は外側と内側の縞で逆になる傾向があった。
(3)コマの回転が速くなるにつれ緑→橙→赤に変わった。
以下、観察者を固定し、コマの条件を変えて実験観測を続けた。
実験 Ⅱ.
(1)黒縞の模様の時間的ずれが同じになるようにしてコマの回転運動を、円筒で平行移動運動に変えた。黒縞の内側から1~4周を①~④とした。 |
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図2 |
結果・考察
黒縞までの角距離が長いほど、網膜の短波長の受容体の応答のピークに一致するが、1週目は黒半円から黒縞までの間に白地が無いので違った仕組みで色づいて見えると考えられる。