研究の動機
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、大津波の影響で、太平洋沿岸地帯の広範囲に多大な被害が生じた。特に東北沿岸では、土壌に多量の塩分が含まれてしまい、農業に大きな影響が生じ深刻である。地震大国である日本にとって、津波による塩害の被害は考えなくてはならない課題だととらえる。日本だけでなく、世界でも、塩はかんがい地の1/5を劣化させており、年間約273億ドルの経済損失を引きおこしているというデータもある。この状況を受け、本校科学部では4年にわたり、ファイトレメディエーションについて研究を行ってきた。
結論と感想
種から植物を発芽させて塩耐性を調べたところ、成長の様子からトマトとグラパラリーフで強い耐性がみられた。また、この2つの植物では塩の吸収も大きくみられ、塩害対策に有効であると考えられる。またトマトやオクラでは、実がなると植物本体よりも実に塩をたくわえる傾向があることがわかった。特にトマトでは吸収された塩の全てが実にたくわえられた。牛久市ではアブラナの油をバイオディーゼルとして利用する取り組みが行われている。塩を吸収したアブラナでもエネルギーとして利用できるのか調べていきたいと思う。